今回は、株式投資の基本と言われながらも、長期にわたって低迷しているバリュー株(割安株ともいう)投資について焦点を当てたいと思っています。なぜ、このタイミングでバリュー株を取り上げるかというと、長期で低迷していたバリュー株が2021年初めに大きく上昇したからです。そんなこともあって、「バリュー株が本格的に復活するのではないか」という議論が繰り広げられています。

もちろん、短期的にバリュー株が有利なのかを当てることは非常に難しいと思いますし、私もそれを当てようとは思っていません。ただ現在の状況は、これまでの環境とは異なるのかもしれません。そこで、今回はバリュー株投資に対する今後の投資スタンスについて考えてみます。

「バリュー株が割安だからチャンス」は本当?

長年、バリュー株の株価が低迷していたため、バリュー株の割安度(バリュエーション)は長期にわたって低い状態となっています。一方、この間、好調だったグロース株(成長株)は割高になっていますし、株式以外でも、国債、社債、プライベート・エクイティ等の他の投資対象も多くが割高になっており、消去法的にバリュー株が魅力的に見える状態が続いています。

また、足元では割高な銘柄と割安な銘柄の格差も大きくなっており、バリュー株のリターンが回復する条件が整い始めているようです。そのような背景もあり、「そろそろバリュー株で平均回帰が起こって株価が回復するのではないか」と主張する動きも出てきています。しかし、このような状況は今回だけでなく、過去10年以上の間にたびたび生じていましたが、残念ながら力強いバリュー相場は起こりませんでした。

このようにバリュー株が復活しなかった背景には、構造的な問題があると考えられています。利回りの低下が進んだことは、長期債のようにデュレーション(資金回収までの期間)の長い資産や、グロース株のように遠い未来に大きな利益/キャッシュフローが発生すると見込まれる資産に恩恵をもたらしました。

それに対し、バリュー株はデュレーションの短い資産であり、利回り低下の恩恵を十分に受けることができませんでした。また、テクノロジーによって一部の産業はビジネスモデルが破壊され、「今は割安だからいずれは元に戻るだろうとの考えが通用しないのではないか」との疑念や、「バリュー株の企業価値の中で無形資産が占める割合が高くなったことで、バリュー株の割安な株価が本当に正当なものなのか」との疑念も生じました。

加えて、この10年間に日本でも海外でもパッシブ運用の割合が大きく増加しましたが、本質的にパッシブ運用は、株価が上昇した銘柄への投資をさらに増やす投資手法のため(モメンタム)、バリュー株に資金が回りづらくなっているという構造的問題も指摘されていました。このようなこともあって、なかなかバリュー株は復活しませんでした。