中学になると部活動や宿泊研修への出費がかさむ

では、中学ではどうだろうか。公立中学でかかる学校教育費は年間138,961円。グンと増えてくる。小学校のように教材や実習道具をやたら買わされるということはなく、学用品・実習材料などは全体の18.3%に抑えられている。

ただ、その代わり部活動などを始めるため、小学校に比べて「教科外活動費」がかなり増加しているのがわかる。

<公立中学校における学校教育費の内訳>

出所:文部科学省 平成30年度子供の学習費調査結果を元にFinasee作成

これはあくまで平均値であり、部活動の強い学校などに入ると、公立であっても遠征費やユニフォーム代、道具代などがかさんでいくことも。また、昔は中学での旅行というと中3時の修学旅行だけだったが、最近では公立校でも宿泊研修を毎年のように行う学校もある。修学旅行の積立金だけでは済まないことも頭に入れておいたほうがよさそうだ。

学習塾への支払いは中学で増加 子どもが小さいうちに備えて

もうひとつ、考えておきたいのが「学校外活動費」。こちらは、今まで見てきた「学校教育費」以外の、習い事や家庭学習、体験活動、学習塾などにかかる費用だ。

小学校では平均で年間214,451円。中学では306,491円だ。見かけ上は10万弱増えただけなので、そんなに変わっていないようにも思える。しかし、内訳をみると、中学では学校外活動費の中でも「学習塾費」の金額がグンと跳ね上がっている(小学校では平均で年間約5万3千円、中学校では約20万3千円)。

小学校のうちは家計が苦しければ、習い事を減らしたり、月謝が安いところを選んだりすることができる。また、中学受験をしないのであれば、学習塾は無理に通わせなくてもよいという判断もできる。

しかし、日本で公立中学校に進学した場合、中高一貫校でない限りは全員が高校受験をしなければならない。中学3年間の学習塾費はなかなか削れない家庭が多いのではないだろうか。

個人的には子育て世帯の収入が20年前に比べると格段に落ちていることを鑑みて、せめて小学校の間は教材費などを欧米並みに学校負担にしてほしいと思う。とはいえ、やはり小学校の間は子どもの食費や交通費も安く、家庭にとっては節約時。特に研修費(修学旅行の費用など)がかからない小学校低学年の間は、お金の貯め時といえる。

逆に、この期間を逃すと、将来の学費などをまとめて留保することが難しくなっていく。ぜひ、子どもが小さいうちに余剰資金を貯金し、あるいは積み立てや資産運用などで備えておきたい。

小学校に入学した子どもが大学受験するまでに約10年。1か月1万円だけでも積み立てや運用に回していれば、年間12万円×10で、120万円。進学時にこの120万円があるかないかでは、かなり違うのではないだろうか。資産運用をしていれば、運用益もプラスされる。

幼保無償化でほっとしているご家庭に水を差すようだが、子どもにお金がかからないうちに学資保険以外にも「備える」お金をキープしておきたいものだ。