幼保無償化を巡る議論で浮かび上がる子育て家庭の事情
3月8日に行われた参院予算委員会で19年より始まっている幼保無償化について、有識者から「高額所得者に手厚い再分配になっている」という意見が起こり、これが「将来、所得制限につながるのでは?」という推測を呼んで、Twitterなどでは「所得制限」がトレンド入りする騒ぎになった。
ネット上では「働いた人ほど損をする」というヒステリックな反応が多かったが、実際に公聴会で挙げられたのは有効な再分配が必要という議論で、幼保無償化への所得制限自体は議題に上がってはいない。かなり先走りし過ぎた反応という感じがする。
今のところ、3歳からの無償化に制限をかける意見は、政府内でも出ていないようだ。一部の発言を巡ってここまで感情的な反応が起こるのを見ると、やはり日本の子育て世帯の台所事情が、中間層まで含めてかなり苦しいのではないかと感じる。
現在、3歳~5歳児クラスの利用料は、幼稚園・保育園を問わず無償化されている。所得制限も一切ない。3歳になってやっと高い保育料から解放され、ほっとしている家庭も多いだろう(実際には0~2歳クラスの間が最も保育料が高額なので、なぜ3歳から?という疑問はあるが……)。卒園すれば、あとは義務教育。もうお金がかかることがないと楽観的にとらえている家庭もあるのではないだろうか。
しかし、実は日本では義務教育の間も、親の出費がこまごまとあるものなのだ。