第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの田中理氏が3月18日に公表したレポート「ロシアのデフォルト危機、今後の注目点」によると、今月末と来月初めに控えているドル建て国債の元利払いが次の要注意日程になるとのことです。3月16日に期限を迎えていたドル建て国債の利払いは履行され、ひとまずロシアがデフォルトに陥るリスクは回避されました。ちなみに同日、期限を迎えたドル建て国債は1億1700万ドルで、その債務の支払いについてはドル建てで履行された模様と、同レポートは指摘しています。
ルーブル暴落でデフォルトリスクはまだまだ続く…
ロシア政府はドル資金不足に陥っているため、外貨建て国債の利払い、償還を行うに際して、ルーブルで支払う可能性を示唆しています。現状、ルーブルの価値は外国為替市場で暴落状態にあるため、ルーブルで元利金を返済されたとしても、その価値は大幅に減価しています。現状、ほぼデフォルトに近い状態といってもいいでしょう。
同レポートによると、次にデフォルトのリスクが高まるのは、「金額が大きくルーブル建ての支払いが認められていない3月31日に期限を迎える4億4700万ドルのドル建て国債の元利払いと、4月4日に期限を迎える21億2900万ドルのドル建て国債の元利払いにとなろう」ということです。また、「ロシアは2022年中に合計で46億ドルの外貨建て国債の元利払いを控えており、このうち41億4000万ドルはルーブル建ての返済が認められていないものとされる」ということです。
かなり際どい状況にあるのは間違いないでしょう。
ちなみにドル/ルーブルの為替レートは、ロシアがウクライナに侵攻する前だと1ドル=75ルーブル前後で推移していたのが、一時は1ドル=144ルーブルまで売り込まれました。3月31日に期限を迎える4億4700万ドルのドル建て国債を償還するのに必要なルーブルは、暴落前であれば335億2500ルーブルでしたが、急落後は625億8000万ルーブルに膨らんだことになります。これは国が外貨建てで借金することの怖さを物語っています。
では、ロシア国債がデフォルトに陥った場合、個人への影響はどうなるでしょうか。