家族全員での情報共有が大切
加藤氏によれば、個人の相続対策は現状把握から始めることだという。
「突然相続が訪れて莫大な相続税がかかることになっても、その時からできることは多くはありません。今どれくらい財産があり、このままだといくら税金が発生するのか。そして自分の家族は相続する気があるのか、前もって家族で話し合っておきたいところです。
できれば相続の話は子どもからではなく、親御さんから伝えてあげたほうがスムーズだと思います。子どもからは遺産について聞きづらいということもあるでしょう。相続の話を持ち出すと『親の遺産を狙っているのか』と親に勘違いされ、家族関係が悪くなってしまうのではないか。そう考えるお子さんも少なくありません」
また、相続税に関する制度内容は複雑で、素人には判断が難しい部分も多い。対策にあたっては信頼できる専門家を見つけることも欠かせない。
「例えば、税理士にお願いできれば力強い。ただ、得意分野は人によって異なります。まずはある程度自分で課題を見つけ、その分野で実績ある人を見つけることができれば、きっと力になってくれるはずです。
自分の死に関する話題はなるべく遠ざけておきたい、という人が多いでしょう。ただ、何もしないままでは残された人たちもトラブルに巻き込まれる可能性があります。自分がはっきりと物事を決められるうちに、相続について家族と情報共有することが大切だと思います」
取材・文/笠木渉太(ペロンパワークス)