平均値は毎年変動するため、継続的に見ていくことが大切

——金融機関の業態別に見ると、何か特徴はありますか?

地域銀行は全体平均に近い位置に集中している一方、証券会社はバラつきがあります。銀行の顧客よりも証券会社の顧客のほうがリスクを取った運用を好む傾向にあり、それが影響していると考えられるでしょう。

この指標が今後も公表されていくことによって、それぞれの金融機関の品ぞろえが顧客の資産形成・資産運用を長期的に成功に導くためのものになっているのかどうか、しっかりとチェックするきっかけになります。また、それが投資信託のメーカーである資産運用会社に緊張感をもたらすことにもなると思います。

——リスクとリターン、コストとリターンのいずれも、2020年3月末と2021年3月末では全体平均の位置が大きく変わっていますね。

2020年3月は、コロナショックの影響を大きく受けていた時期なので、これは当然とも言えるでしょう。このように、時々のマーケットに左右されるのはやむを得ないため、ご自身が取引されている金融機関の数値を複数年にわたって見ていくことが大切です。

もう1つ大事なことは、2020年3月末時点のマイナスを我慢して持ち続けていたら、平均値で見てもリターンが回復しているという点です。あまり短期の上げ下げで、一喜一憂しないことも重要ですね。