つみたてNISAと共に、個人の資産形成の中核的な制度になりつつある「確定拠出年金」。厚生労働省が公表している数字によると、2021年3月末時点の加入者数は、企業型が約749万7000人、個人型(iDeCo)が193万9044人で、合わせると1000万人の大台が見えてきました。ちなみに、個人型の加入者数が直近、2022年1月末時点で230万9757人まで増えているので、今年度末の大台乗せは微妙かも知れませんが、近々、1000万人を突破しそうです。

年代別に比較できるリスクの取り方

ニッセイ基礎研究所が3月11日に発表した「基礎研レポート」では、「確定拠出年金では何に投資したら良いのか?」と題して、金融研究部研究員の熊紫云氏が、確定拠出年金の資産配分の現状や、過去の金融危機を経てバランス型投資信託で運用した場合のパフォーマンス検証、どのような運用をするべきかなどについて言及しています。

このレポートで興味深かったのは、確定拠出年金の資産配分の現状に関する記述です。具体的に、どの商品で運用されているのかについて示されています。それによると、全体では預貯金が31.7%、保険が13.2%というように、元本確保型商品による運用が44.9%を占めており、かつリスクを取る商品のなかでは、バランス型投資信託の人気が高く、18.3%を占めているとのことです。

年代別の比率についても示されています。預貯金、短資、保険という元本確保型商品による運用比率を年代別に整理すると、

19歳以下・・・・・・49.7%
20~29歳・・・・・・42.8%
30~39歳・・・・・・37.7%
40~49歳・・・・・・40.1%
50~59歳・・・・・・47.7%
60歳以上・・・・・・58.4%

となっています。この数字は運営管理機関連絡協議会が作成した「確定拠出年金統計資料(2021年3月末)」からのものです。

年代別に元本確保型商品による運用比率を見ると、30~39歳、40~49歳にかけて元本確保型商品による運用比率が低下する一方、国内株式型や外国株式型による運用比率が上昇しているのが分かります。

30歳を過ぎると若干、老後の資産形成に対する関心度合いが高まるのでしょうか。恐らく、この超低金利下において預貯金など元本確保型商品による運用では、満足のいく資産形成が出来ないという認識が強まるのだと思います。

とはいえ、50~59歳、60歳以上というように高齢になるにつれて、再び元本確保型商品の運用比率が高まっていきます。60歳以上に至っては、約6割が元本確保型商品での運用になります。