見過ごされがちな円安進行という「追い風」

好調に推移する株式市場の陰に隠れてあまり強調されてこなかったが、実は2021年は、米ドルが日本円に対して10%以上上昇し、円安ドル高が進んだ(1ドル103円台→115円台)。円が各国通貨に対して下落する円安の進行は、外貨建て資産に投資する投資信託にはプラスに作用する。この結果、S&P500指数は現地通貨ベースでこそ約27%のプラスだったが、円換算でリターンが算出される同指数のインデックス連動型ファンドの騰落率は、平均で約44%のプラスと驚異的な数字をたたき出した。

為替の変動率がそっくりそのまま投資信託の運用成績として反映されるわけではないが、2021年に関しては、このように円安進行によってファンドの基準価額と運用成績が大きく押し上げられたことを忘れてはならない。こうした事実を素通りして、「米国株ファンドはたった1年で44%も上昇するポテンシャルがある」と勘違いしてしまうのはあまりにも危険である。

ちなみに、この為替変動が投資信託の基準価額に与える影響はインデックス型に限らず、アクティブ型でも同じように作用する。ただし、アクティブ型は銘柄選定や投資配分の面で柔軟な対応が可能なため、インデックス型ほど直接的に為替変動の影響が表れないということを付け加えておきたい。