2月の米国株マーケットの見通しとポイント

2月の米国株マーケットも混沌とした状態が続く可能性が高いでしょう。例年2月は弱気相場の月であることから指数のパフォーマンスも1月と同じ程度になる可能性は高そうです。

目下、最大の懸念事項はインフレとウクライナ危機の2つです。

まずインフレ。昨年夏頃まではFRB(連邦準備理事会)もインフレは半導体不足によるサプライチェーンの混乱であり一時的なものと考えていましたが、人手不足から給料の高騰圧力につながったこともあいまって、なお物価は高騰しています。

ただ一方で、FRBは2020年から続いた金融緩和政策を引き締める「利上げ」を避けられない状況にあります。利上げ開始のタイミングとしては最も厳しい状況であり、投資家にとっても逆風です。

とはいえインフレもずっと続くのかといえばそうではなく、FRBが発表したPCE価格指数(個人消費価格指数)は2022年2.6%、23年2.3%と減少する見通しです。消費が落ち着けばインフレ懸念も次第に解消していくため、やはり今が最も苦しい時期とも言えるでしょう。

次に、ロシアがウクライナへ侵攻する可能性がある「ウクライナ危機」。実際にはどうなるのかは分かりませんが、仮に侵攻した場合、主に西欧諸国のエネルギー産業を支えているロシアからのボイコット運動が行われる可能性があります。そうなるとロシア以外の石油関連株にさらに注目が集まるはずです。実際、年初来のパフォーマンスはエネルギーセクターのみ突出したパフォーマンスを見せています。

またコモディティにも注目です。なぜならロシアやウクライナは小麦の生産がさかんであり、仮に侵攻が始まると石油同様に世界の国々は他の地域から小麦を輸入する必要に迫られるかです。

インフレの深刻化、ウクライナ危機……この2つの問題からはハイテク株よりもバリュー株、個別株ならエネルギー株、そして小麦などのコモディティに注目する時期だと考えるのが論理的です。

おわりに

かつてアマゾン創業者ジェフ・ベゾスは、「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェットにこんな質問をしました。

ベゾス「なぜみんなあなたの投資戦略をまねしないのですか?」

バフェット「ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ」

これは投資の真理を突いた言葉ではないでしょうか。現在のマーケットは方向性が見えにくく混乱していますが、本来、資産運用はじっくりと時間をかけて育むものです。最大のリスクは投資をやめてしまうこと。少なくとも10年、20年先の未来において米国が資本主義のトップを走り続ける可能性が最も高く、私たち日本人にとって米国への投資はこれからも魅力的であり続けることに変わりないでしょう。

今こそじっくりと資産を育む投資戦略を継続するべき時期だと筆者は考えます。

 

執筆/鈴木 林太郎

金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。