筆者自身も予想外だった2022年1月の米国マーケット。その要因となったのが小売売上高前年同月比-1.9%という数字です。事前のアナリスト予想を大きく下回ったことで、米国経済は堅調に回復しているという前提が大きく崩れました。投資家は何よりも先行きの不透明さを嫌うため、キャッシュポジションを多く持つことを意識した売りが先行し、株価下落へとつながったのです。
とはいえ明るいニュースもありました。それが株価指数にも大きな影響を与えるマイクロソフト、テスラ、アップルの四半期決算発表です。3社ともに好決算を発表し、特にアップルは売上高(1239億4500万ドル)と純利益(346億3000万ドル)がともに過去最高を更新したことで、株式市場に一定の安心感をもたらしました。仮にアップルの決算が悪ければマーケットは総崩れになっていた可能性もあり、1月はアップルに救われたと言っても過言ではないでしょう。
それでは米国主要株価指数であるダウ平均株価、S&P500、ナスダックの2022年1月の動きを振り返ります。
1月のダウ平均株価
ダウは米国主要業種を代表する30銘柄で構成された指数です。
組み入れ銘柄の中ではマイクロソフト、アップル、ビザが直近の四半期決算でアナリスト予想を上回る好決算を発表しました。これにより1月24日に底値を付けた苦しいマーケットを下支えする展開となりました。
・ダウ平均株価 35131.86ドル(1月31日時点)
1月のS&P500
S&P500は米国の証券取引所に上場する企業の中で代表的な500社を組み入れて構成された株価指数です。米国経済の現在地を最も正確に表した数字といえるでしょう。
マーケットの下落に大きな影響を与えたのが、前年同月比+7%を記録した消費者物価指数です(1月12日に米労働省が発表)。FRBの予想を超えたインフレが表面化したことで、予定よりも利上げのスピードが加速すると懸念され、様々なセクターに波及したことで大きく下落しました。
ただS&P500に占めるGAFAMを合計した時価総額比率は20%を超えており、ダウ同様にマクロソフト、アップルが好決算を出したことから1月24日の底値からは脱却しています。
・S&P500 4515.55ポイント(1月31日時点)
1月のナスダック
ナスダックは主にハイテクセクターやネット企業の動向を知る重要な指標です。GAFAMを中心に米国経済を牽引するテクノロジー企業が組み入れられています。
1月は米国企業の四半期決算月であり、序盤に登場したネットフリックスの新規会員数が鈍化し、アナリスト予想を下回ったことで、アフターマーケットで株価が21.8%も下落しました(1月21日)。この決算ミスの煽りを受けた同業のウォルト・ディズニーが−6.9%、ロクが−9.1%と株価が大幅下落しました。またネットフリックスの結果を受けて、これから四半期決算発表が待ち受けているハイテク企業の決算に対する警戒感が強まり、ナスダックはこの週で、2020年3月以来最大の週間下落率を記録しましたが、アップルが好決算だったことでナスダックも少し持ち直しています。
・ナスダック14239.88ポイント(1月31日時点)