世界で最も南にある大陸といえばどこでしょう? オーストラリア、ではなく「南極大陸」です。北極に陸地はありませんが、南極には日本の36倍にもなる大地があります。地球上の氷の約90%が集まり、その厚さは最大で約4000メートル。なんと氷が富士山よりも高く積み上がる、まさに極限の世界といえるでしょう。
そんな南極を研究するために開設されたのが「昭和基地」で、本日1月29日はその開設記念日です。今日は南極について、少し詳しくなりましょう。
昭和基地は南極における日本の基地
日本が南極観測への参加を決定したのは1955年です。終戦からまだ10年で、敗戦国では日本が唯一の参加でした。
第1次南極地域観測隊は1956年11月8日に東京・晴海港を出発します。現在ではオーストラリアから出発しますが、当時は日本から船で向かったようです。そして観測隊は82日後の1957年1月29日、南極大陸のオングル島に上陸し、昭和基地の開設を決定する上陸式が行われました。
1次隊の任務は過酷です。南極に基地を作らなければなりませんが、観測隊の多くは建設作業の経験がなく、また建設機械もありませんでした。厳しい環境の中、1次隊は4棟(178平方メートル)の建物を作り上げ、見事に任務を果たしました。現在では60棟以上にもなっています。
1次隊で南極へ向かったのは人間だけではありませんでした。カラフト犬とは別に、「たけし」という1匹の三毛猫も同行しています。ソリを引くカラフト犬と異なり、たけしはペットとして活躍しました。過酷な環境で働く隊員の癒やしだったようです。
出所:国立極地研究所 アーカイブ室
ちなみに現在の昭和基地では2020年12月から滞在している62次隊の冬隊と、2021年12月に南極に到着した63次隊の夏隊・冬隊が活動しています。うち62次隊の冬隊と63次隊の夏隊は2月上旬に昭和基地を出発し、残った63次隊の冬隊は来年の2月中旬までの1年間、南極の厳しい冬を過ごします。