昭和基地で何をしているの?

ところで、昭和基地では何をしているのでしょうか?

昭和基地では主に観測などの研究が行われています。例えば海面の高さを測る「潮汐観測」は1971年から継続観測されており、長期的な海面の上下動や地盤変動の把握、さらには津波の観測などに役立っています。

最も新しい観測隊である63次隊では「スペクトルリオメータ」と呼ばれる新しい観測装置を持ち込み、宇宙空間からの高エネルギー電子の降り込みを観測します。これはオゾン減少の原因とみられており、本調査でそのメカニズムの解明を目指しています。

さらに63次隊では南極が火星模擬候補地となり得るかの調査も始まりました。現在JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、火星探査機の着陸候補地の選定のため日本独自の火星模擬地を探しています。本調査で昭和基地周辺の地質や地形を調べ、有用性が示されれば64次隊以降で本格的な調査に臨む計画です。

このように、南極ではその独特な立地を生かし、地球規模・宇宙規模の地理的な研究が多く行われています。

なお、観測隊のメンバーの多くは国や大学の研究所職員が占めていますが、民間企業からも参加しています。例えば10次隊派遣時(1968年)に昭和基地の居住棟を供給した「ミサワホーム」は、50次隊(2008年)からは毎年参加しており、設営隊として南極観測隊をサポートしながら厳しい環境に耐えられる建物の研究を行っています。