アクティブ運用の実態はどうなっているか?
日本の投資信託の現状について、金融庁がまとめた「資産運用業高度化プログレスレポート2021」というものがあります。そこでは、アクティブとパッシブの実績の比較が行われており、全体で見ると、日本はもちろん米国籍ファンドでもルクセンブルク籍ファンドでも、アクティブの投資効率(シャープ・レシオ)はパッシブよりも低くなっています。つまりこれだけ見ると、アクティブは高い信託報酬がかかっているにもかかわらず、信託報酬の安いパッシブに負けていて、「使えない」という判断をされても仕方ないかもしれません。
でも、分析を詳細に見てみると、アクティブのすべてがダメなわけではなく、勝ち組と負け組に大きく分かれていることが分かります。勝ち組はリサーチに基づきしっかり集中投資をしている一方、負け組はあまりリスクを取らず、ベンチマークに近い運用を行っているようです。
また、当レポートでは、少数のファンドに専念している運用会社のアクティブは実績が良い傾向がある一方、多くのファンドを手掛けている運用会社の実績は高くない傾向も見られました。結局は、経営資源をどこまでかけているかによって、運用実績が変わってくるということなのかもしれません。
金融庁はこれらの分析に基づき、後者のベンチマークに近い運用を行っているにもかかわらず、信託報酬が高いファンドを問題視しています。決してアクティブがすべてダメと言っているわけではないのです。