最近、さまざまなところで「資産形成にはパッシブ運用の投資信託(以下、パッシブ)に投資するだけで十分」といった論調が見られます。確かにパッシブは信託報酬が低いため、その点では間違いなくおススメでしょう。
一方、「安かろう、悪かろう」や「安物買いの銭失い」という言葉もあるように、「安いとその効果もたいしたことはないのではないか」と思う人もいるはずです。今回はパッシブだけで本当に十分なのか、アクティブ運用の投資信託(以下、アクティブ)は活用する必要がないのかについて、見ていきたいと思います。
株式市場の下落局面で、下がることを受け入れられる?
ここ数年間は米国株式市場を中心に株式市場が好調だったこともあり、株式市場に連動するパッシブに投資しておけば容易に大きなリターンを得ることができました。十分な投資の知識がなくても、とにかく株式市場に投資さえすればリターンを得られた環境では、パッシブは合理的な選択肢だったのかもしれません。
しかし、株式市場は永遠には上昇しません。市場にはサイクルがあるため、いつかは下落局面がやってきます。すでに株価水準が割高であること、各国中央銀行が金融緩和から引き締めに舵を切りつつあることなどを踏まえれば、下落の日はそう遠くないかもしれません。当たり前ですが、市場全体が下落する局面では、パッシブは市場と同様に下落します。「長期投資なので上昇も下落もあるさ」と受け入れられる投資家ならいいのですが、「市場と一緒に下がるのは、まっぴらごめん」と思っている人にとっては、パッシブでは満足できないでしょう。では、どうすればいいのでしょうか?
解決策の1つは、自分自身でタイミングを取って株式市場から逃げること。もう1つは、アクティブから超過収益を獲得することで下落幅を抑制することが考えられます。ただし、1つ目の解決策は、どんなプロでも難しいと言われていますので、相対的にはアクティブで超過収益を獲得するほうが実践しやすいと思います。
とはいうものの、「アクティブは信託報酬が高いにもかかわらず、良い実績をあげていないではないか」との反論もあるでしょう。実際のところどうなのでしょうか?