私が理事をしているNPO法人確定拠出年金教育協会が2021年9月にiDeCo加入者調査を行いました。今回は、その結果をもとに、商品選択など、そのリアルな姿をご紹介してみたいと思います。
投資信託のみでの運用が52%
iDeCo資産の運用についてお聞きしたところ、「投資信託のみ」が52.5%、「投資信託と元本確保型で運用している」29.9%、「定期預金等の元本確保のみ」が9.5%でした。投資信託を利用して運用している方が8割以上で非常に高いことが明らかになりました。
というのも、iDeCoと同じ確定拠出年金で企業が退職金制度として導入している企業型確定拠出年金(以下「企業型DC」という)の加入者については運営管理機関連絡協議会が「確定拠出年金統計資料」(以下、「統計」という)の中で同様の数字を公表していまして、投資信託での運用は67.9%(2021年3月末基準)だからです。会社の制度として加入するのではなく、ご自身の意思で加入するiDeCoの加入者の方が運用についても積極的なことがわかります。
【調査概要】
調査対象:19歳~64歳までのiDeCo加入者
調査方法:インターネット調査
調査票回収数:1,000票
調査期間:2021年9月末
出所:特定非営利活動法人確定拠出年金教育協会
年代別で見てみても、「投資信託のみ」がトップシェアで50%を超えていました。最も「投資信託のみ」の割合が高かったのが40代で、6割近い方が「投資信託のみ」でした。まだ運用できる期間がそれなりに長いですし、iDeCo以外の資産もある方が多いでしょうから、運用益非課税のiDeCoについては積極的に運用しようと考えているのかもしれません。
一方で「定期預金等の元本確保のみ」のシェアが12.3%と最も高かったのが50代、60歳に受け取るとすると運用期間が短いと考えているのだと思います。来年5月以降、会社員の方などは65歳まで加入できるようになりますから、今後このあたりも変化が出てくるかもしれません。
40代・50代の新規加入が多い
実はこの40代・50代の方は、iDeCoの加入者におけるシェアも高く、iDeCoという制度に魅力を感じて純粋に加入されている方が多い年代です。
一方、20代・30代のiDeCo加入者の方は もともと勤め先で企業型確定拠出年金に加入していて転職などにより企業型DCの資産をiDeCoに移す必要に迫られて、成り行きでiDeCo加入者になったという方が比較的多いのです。30代では47.6%と約半数、20代に至っては69.4%と約7割に上ります。
iDeCoは、老後のお金を作る制度なので、やはり、40代ぐらいになって、ほかのライフイベントへの備えもあるけれども老後のお金をそろそろ腰を据えて準備しようと思い始める世代が申し込みしているようです。加入者のみなさんが制度の目的・役割をよく理解して活用されていることがわかります。