経過的加算はいくらになるのか? 計算方法を確認

経過的加算額は、定額部分に該当する額から、厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額を差し引いた額となります。

【計算式】
経過的加算額=①定額部分に相当する額-②厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額

①定額部分=1,628円 ×1.000※2 × 厚生年金被保険者期間の月数※3 (2021年度)
※2、※3 1946(昭和21)年4月1日以前に生まれた方については、給付乗率および被保険者期間の上限月数が異なります。

②厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額=老齢基礎年金の満額×(1961〈昭和36〉年4月1日以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間の月数÷加入可能月〈480月〉)

この経過的加算額はいくらになる?ということと、それを含んでトータルでいくら老齢年金を受け取れる?ということを、この「経過的加算」を説明する際によく使われるモデルで説明しましょう。

例えばこんな感じです……平均月収は2人とも20万円とします。

【Aさん(65歳)】
20歳から60歳までずっと会社勤めをしてきたAさん。
Aさんの年金情報:20歳から60歳までの厚生年金加入期間480月

【Bさん(65歳)】
大学卒業後、家庭に入る前に5年間会社勤めした後、いったん専業主婦に。子育てが一段落した後、50歳で再び働き始め、65歳まで会社勤めをしたBさん。
Bさんの年金情報:学生時代は納付しておらず※4、大学卒業後の厚生年金保険加入期間60月と50歳以降60歳未満の厚生年金保険加入期間120月と60歳以降の厚生年金保険加入期間60月

※4 学生に国民年金への加入が義務づけられたのは1991(平成3)年4月から。それ以前は学生の加入は任意。

Aさん、Bさんが65歳を迎えると年金受給額とその内訳にはどのような違いがでてくるのでしょうか。前提として、満額の老齢基礎年金は780,900円(2021年度)とします。

【Aさん】
経過的加算:781,440(1,628円 ×1.000×480)-780,900(780,900×480月÷480月)=540円

トータルの年金:満額の老齢基礎年金、780,900円(2021年度)+老齢厚生年金の報酬比例部分526,176円+経過的加算540円、合計1,307,616円を受け取ることができます。

【Bさん】
経過的加算額:390,720(1,628×1.00×240)-292,838(780,900円×180月÷480月)=97,882.5≠97,883円(小数を四捨五入)

トータルの年金:老齢基礎年金741,855円(456月分)+老齢厚生年金の報酬比例部分263,088円+経過的加算97,883円、合計1,102,826円を受け取ることができます。

ここでAさんとBさんの経過的加算額を比べると、Bさんのほうがかなり多いことがわかります。なぜでしょう。

Bさんは学生時代、年金保険料未納だったため、満額の老齢基礎年金を受け取ることができません。ただし、60歳以降も厚生年金保険に加入し働いていたため、老齢基礎年金に相当する部分として経過的加算が増えていたのです。つまり①の部分は180月から240月に増えますが、②の部分は「20歳以上60歳未満」という期間に該当しないので、180月のまま計算額は変わらないのです。

一方、Aさんは満額の老齢基礎年金と480月の厚生年金保険に加入しているため、60歳以降働き続けたとしても経過的加算が増えることはありません。結果、Bさんは厚生年金保険の加入月数がAさんより少ないですが、学生時代の未納24月分も60歳以降に厚生年金保険に加入することで、経過的加算でカバーすることができるということです。

老齢基礎年金の満額は20歳から60歳までの40年間、480月です。その期間に猶予や未納期間があり、満額の老齢基礎年金を受け取れない場合、20歳前や60歳以降に厚生年金保険に加入している期間があれば480月までの期間をカバーすることができます。しかしながら、コツコツと厚生年金保険に加入し続けた人からすると、モヤモヤするかもしれませんね……。