積立投資であってもカギを握るのは「人的資本」

「積立投資は株式に投資すれば十分」というのはシンプルで分かりやすいですし、株式が上昇している今の状況では「それでもいいか」と思ってしまう人も多いかもしれません。でも、これが必ずしも正しいとは言えないことがご理解いただけましたか? 積立投資では、これまで積み立てた資産と将来積み立てる資産のバランスを考慮して、リスクの取り方を変えていく必要があるのです。

実はここで言う「将来積み立てる資産」というのは、この連載の第1回(「こんなはずでは…」 リスクを取って資産運用をしなかった若者の末路)で紹介した「人的資本」と同義になります。第1回では、人的資本を考慮すると、若いころはリスクを取ってリターンを狙えるので株式中心の資産配分が適切となりますが、年を取るのに合わせて徐々にリスクを低くしていくのが正解とお話ししました。

結局、面倒くさいかもしれませんが、積立投資であっても、定年退職間近のタイミングで想定外の大きなマイナスを被ることを回避するには、人的資本を考慮したライフサイクル投資を実践することが必要になるのです。格言でも言われていますが、栄光に近道はないのです。