今回は、アクティブファンドvsインデックスファンドの最終回として、未来に向けて異なる市場環境下でアクティブファンドとインデックスファンドのどちらが優位であるかを考えます。ただし、以下の比較はあくまでも一般的な傾向を示していることにご注意ください。実際の運用成果の優劣は、各アクティブファンドにおける投資判断の成否によって大きく左右されます。

 

3.(未来) それぞれが優位と思われる市場環境

これからのアクティブファンドの活躍余地は更に拡大も

投資対象ごとに市場環境を想定し、アクティブファンドとインデックスファンドそれぞれにとって有利な環境を考えます。

 
  • (1)株式 : 市場変動幅と主役交代

前回もご説明しましたが、株式投資におけるアクティブファンドは、設定解約対応のための不本意な売買を避ける目的で、常時少額(3−5%程度)のキャッシュを保有しています。その点で、インデックスとの連動性を維持するためにキャッシュを実質ゼロにしているインデックスファンドとは、性格を異にします。市場が大きく変動した場合、このキャッシュが、パフォーマンス上、下落時にはクッションになりますが、逆に上昇時には足かせになります。

また、アクティブファンドは、株価動向を利用して逆張り的に売買を行う傾向が見られます。 株価が上昇し割高になってきたと判断すれば(徐々に)売り上がりますし、逆に株価が下落して割安感が出てくれば買い下がります。しかしながらこうした逆張り的な売買は、特定の銘柄が長期間にわたり市場全体を牽引する市場環境では、主役銘柄を早めに(部分)売却したり、買い戻しが十分に行えなかったりすることで、株価上昇をフルに享受できない結果にもつながります。

近年では米国を中心に一部の銘柄(アップル、マイクロソフト、アマゾン等)が継続的に大きく上昇し、長期間にわたり市場全体の上昇をリードしてきました。アクティブファンドにとっては強い逆風が吹いていたと言えます(米国株におけるアクティブファンド不振の理由を考える)。もし市場の上昇スピードが減速あるいは調整が始まったり主役が固定されないような環境となれば、アクティブファンドへの逆風も弱まったり、逆に追い風となることもあると考えます。

 

  • (2)株式(小型株) : 新興企業誕生ペース

株式アクティブファンドは、株式公開後まだ間がない小型株にも早い段階から投資が可能です。技術革新や新商品/サービス登場により新興企業が次々と生まれ、株式公開件数も増える環境下では、その運用の自由度により、アクティブファンドからはハイリスクながらもハイリターンが期待できると考えます。一方インデックスファンドでは、対象インデックスに採用されるまで新興企業には投資することができず、所謂「小型株効果」が享受できません。

 

  • (3)株式/事業債 : 企業間競争/再編

経済成長/景気回復の波に乗り多くの企業が同時に業績を拡大/回復させるような環境では、様々な企業に満遍なく投資する株式インデックスファンドの特性が発揮されるでしょう。同様に多くの企業で財務体質が改善し、信用格付けの改善が見込まれる状況では、幅広い事業債に投資する事業債(含むハイイールド債)インデックスファンドへの投資も有効でしょう。しかしながら、経済が成熟・低迷する中で企業間格差が拡大し、業界再編が進む環境では、株式/事業債ともに、アクティブ運用で投資対象を厳選しなければ、リターンの確保は難しいと考えられます。