「日本が破綻しない理由」が実は危うくなっている?
近年、海外部門の保有額が増加してきたのは、保有者層の多様化が着実に進んできた証拠と言えますが、反面、海外部門の保有シェアが高まることによって、国債市場が不安定化するリスクも高まってきます。
これまでは巨額の財政赤字があっても、日本が破綻しない理由の1つとして、「日本国債の海外保有比率が少なく、自国内で消化できるから」と言われてきました。しかし現状を見る限り、海外部門の保有比率が年々高まっているのは、自国内消化がいずれ厳しくなることを、財務省も否定できなくなってきたからでしょう。だから、海外での日本国債のプロモーションを積極化させているのです。
昨年、世界銀行のエコノミストが発表したリポートが話題になりました。「許容できない債務」と題したもので、「国債は海外民間投資家の保有比率が20%を超えると価格が急落して金利が急上昇する懸念が高まる」という内容です。
この点で言えば現状、日本の国債発行残高に占める海外部門の比率は13.2%なので、まだ多少の余裕があると考えられます。とはいえ、この10年で海外部門の日本国債の保有比率は、倍とまでは言わないまでも、それに近い水準にまで増えてきました。日本の財政赤字が続く限り、そして海外部門による日本国債の保有比率が高まり続ける限り、注視しておく必要があるでしょう。