海外部門による日本国債の保有比率が徐々に上昇

ところで、資金循環統計にはもう1つ注目すべき数字があります。これはこの10年の傾向と言っても良いかと思うのですが、海外部門による日本国債の保有比率が着実に高まっているのです。

2011年4-6月期の時点でも海外部門の日本国債の保有比率は徐々に上昇傾向をたどっていましたが、それでも保有残高は67兆円で、保有者全体に占めるシェアは7.4%でした。これが2021年4-6月期には、保有残高が162兆円、保有者全体に占めるシェアは13.2%にまで上昇しています。

発行された日本国債の保有者シェアは、1位が中央銀行(日本銀行)の44.1%で、次が保険・年金基金の20.5%、そして預金取扱機関(おもに銀行)の14.2%と続いていますが、現状、海外部門の保有者シェアは、預金取扱機関を追い抜きそうな勢いです。

海外部門の日本国債保有シェアが上昇したのは、財務省が国債の安定消化を目指して保有者層の多様化を図ってきたからです。同省は2014年に国債政策情報室を設置し、海外における日本国債のアピールに努めてきました。言うまでもなく、日本は国債の発行残高が年々増加傾向にあり、それを誰に保有してもらうかが大きな問題になっています。