役員報酬で作った貯蓄を取り崩す計画を

70歳以降の家計も、今と同じくらいの支出があるかもしれませんし、さらに増えるかもしれません。年金は終身で受けられるものではありますが、高い役員報酬を受けた結果、年金の受給合計額がさほど多くなるわけでもない……となると、終身の保障としては少し心もとなく感じるかもしれません。

しかし一方で、Aの場合、5年間高い役員報酬を受け取っていることも忘れてはなりません。そこで、その5年間で得た高い報酬を70歳以降の生活費に充てる計画を立ててみてはいかがでしょうか。

Aの場合とBの場合を比べてみても、単純に月額68万円くらいは差が出ることになります。これが5年間ですと、4080万円(68万円×12カ月×5年)の差となります。

仮に、実質的な差(役員報酬にかかる税金等を考慮)が3000万円だったとしても、70歳から90歳まで生きることを想定した場合に、20年で150万円ずつ多く取り崩せる形になります。AがBより60万円年金が少ない一方、役員報酬から充てられる分はAのほうが150万円多いため、合計でAはBより90万円多いこととなります。

もちろん、会社の業績等により報酬額が変わると、貯蓄額も変わることになりますが、退任後の家計について、このようにお考えになられてはいかがでしょうか。