相談者のプロフィールとお金データ
64歳、会社経営者。専業主婦の妻(65歳)と、経営する会社の取締役を務める長男(30歳)の3人で暮らす。千葉県在住。
【寄せられたお悩み】
「64歳で小さな会社を経営しています。来年9月で65歳、若い頃に創業してからお陰様でここまで経営を続けられていますが、世代交代も近づいています。70歳まで代表者・役員を続けた後は長男に引き継ぎ、私は完全に引退しようと考えています。
現在、役員報酬は月額100万円ほど受け取っていて、業績の悪化がない限り、70歳まで同じ額を受け取ることになりそうです。70歳までとりあえず老齢年金の受給も必要なく※1、繰下げ受給で良いと考えています。
70歳以降は会社経営のことは基本的に長男に任せるとして、70歳まで高い報酬を受け続けた場合の、70歳以降・経営者引退後の家計や資産について見通しを立てたいです。必要ならば、資産運用をすることも“アリ”だと考えています。
私の友人は、大学卒業以降ずっと会社員を続け、65歳で会社を辞めるという人が多いのですが、こうしたリタイア後の計画について、彼らとは異なる注意点やその対策も知っておきたいです」
※1 老齢年金は、原則65歳からの支給。
【お悩みの論点】
①年金は70歳受給開始で決めている。年金を繰下げ受給すれば年金はかなり増額され、リタイア後の一つの安心材料になると理解しているが正しいか?
②65歳から70歳まででできる、リタイア後の備えは?
③70歳以降の家計の収支、特に収入はどのように計画すればよいか?
資産や公的・私的年金の加入状況、月々の収支内訳
内訳
預貯金:4000万円(相談者の預貯金は2000万円)
公的・私的年金の状況
・公的年金
相談者:相談者:65歳時点での公的年金の見込額(年額)は、老齢基礎年金が約72万円、一方、老齢厚生年金は40年以上厚生年金に加入した結果、約174万円(報酬比例部分が168万円弱、経過的加算額が6万円)。
※いずれも70歳0カ月で繰下げ受給開始予定(71歳~75歳までの繰下げはしない)。
相談者の妻:年間120万円程度の年金を受け取っている。
・小規模企業共済※2
相談者はこれまで24年間、月2~7万円ずつ拠出→70歳まで掛けた場合、1200万円程度の共済金を受け取る予定。
※2 中小企業の経営者、役員が加入できる国の共済制度。事業を廃止した場合や役員を退職した場合などに、積み立てた掛金に応じた共済金を受け取ることができる。
収支
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:150万円(本人・妻・長男)
・世帯の手取りの年収:1800万円(本人・妻・長男)
<支出>
・毎月の支出150万円
住居費 20万円(持ち家のため固定資産税などを月換算)、水道光熱費 6万円、食費 9万円、交通費 3万円、通信費 5万円、趣味費7万円、交際費5万円、小規模企業共済の掛金14万円(相談者と長男で7万円ずつ)、貯金 61万円、その他 20万円
会社経営を続ける田所さん。そろそろ息子さんへの代替わりと引退後の生活が気になるところですね。70歳まで会社経営者を続けた場合の、70歳以降の収入や資金の計画についてご提案します。