仮想通貨ICOが詐欺になる“からくり”は?

仮想通貨ICOとは、先述の通りある事業を起こすときに企業が独自トークンを発行し、投資家に引き受けてもらうことによる手法です。事業がうまくいけば発行した独自トークンの価値が上がるので投資家へ利益が還元されます。

しかし実際には事業の実態や予定がなく、「単に資金を集めて逃げるだけの目的」の詐欺案件が少なくありません。「高額な配当金」「高い将来性」などの言葉で煽り、お金を集めて逃げてしまうのです。

仮想通貨ICO詐欺は罪に問えるのか

詐欺罪、民法上の詐欺

「必ず儲かる」「価格保証」「配当金○%」などと述べたにもかかわらず、それが嘘であれば「詐欺」になります。刑事的にも「詐欺罪」が成立して業者の刑事責任を問えますし、民事的にも詐欺が成立すれば契約の取り消しができて払い込んだお金も取り戻す権利が認められます。

ただ実際には業者が逃げてしまっており、責任追及が難しくなるケースが少なくありません。また「詐欺の立証」は非常に難しく、業者が巧みに詐欺の証拠を残さないように行動しているのも障害となります。

金融商品取引法違反

無登録で金銭出資を募集すると「金融商品取引法」という法律に違反します。仮想通貨ICO詐欺の場合にも、金融商品取引法違反の責任を問える可能性があります。

ただ金融商品取引法が対象とするのは「金銭」や「有価証券(株式など)」による出資であり、仮想通貨は対象外です。

内山さんのように「イーサリアム(やビットコインなどの仮想通貨)で払い込むICO」には金融商品取引法で取り締まるのが困難になりがちです。

なお仮想通貨だけではなく現金や株式による払込を並行して行っていた場合、金融商品取引法違反で立件される可能性があり、実際に逮捕事例もあります。