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永田町・霞が関ウォッチャーのひとり言

成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方

文月つむぎ
文月つむぎ
2025.12.19
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成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方

12月17日に閉幕した臨時国会は、高市早苗連立政権にとって初の国会として、2025年度補正予算やガソリン税の暫定税率廃止法案の成立といった成果を挙げた。一方で、衆院議員定数削減法案が継続審議となるなど、与野党間の隔たりも浮き彫りになった。今回筆者が注目したのは、国民民主党と公明党が提示した、財政健全化と国民生活の向上に資する一連の政策提言だ。提言の内容と政府側の反応、そして一連の議論の意義について整理しておきたい。

NISA「国内投資枠」の新設を提言

12月8日の衆議院本会議において、国民民主党の岸田光広議員は、円安対策と国内経済活性化の観点から、NISA制度における日本株や日本国債を対象とする国内投資枠の新設を提案した。

これに対し高市総理は、令和5年度税制改正におけるNISAの抜本的拡充と恒久化を踏まえ、まずはその活用状況を見守る姿勢を示した。同時に、家計の安定的な資産形成には投資対象の分散が有効であること、そしてコーポレートガバナンス改革等を通じた日本企業自身の魅力を高めることの重要性にも言及しており、今後の議論の余地を残した形だ。

この提案は単なる投資奨励に留まらず、国内市場への資金還流を促し、企業価値向上に繋げるという、成長戦略の一環として評価できよう。

 

氷河期世代の年金確保と資産形成支援も

12月16日の参議院予算委員会では、国民民主党の伊藤孝恵議員が、就職氷河期世代の年金確保策として、年金追納要件の緩和と納付期間の60歳から65歳への延長を提案した。さらに、資産形成支援策として、iDeCoへの公的補助やiDeCoプラス制度への財政的支援を求めた。

上野厚労大臣は、公平性や将来の年金額への影響を指摘しつつも、次期財政検証に向けて議論を継続する姿勢を示した。高市総理も資産形成支援の重要性を認識しており、今後の政策検討に前向きな姿勢を見せた。

この提案は、特定の世代が抱える構造的な課題に対し、年金制度の柔軟化と自助努力支援の両面からアプローチしようとするものであり、世代間の公平性と将来設計への配慮が伺える。

 

日銀保有ETFの売却期間短縮案

興味深いのは、12月10日の衆議院予算委員会における国民民主党・玉木雄一郎議員の提案だ。玉木氏は財源確保策として、日本銀行が保有する約83兆円相当のETFの売却期間短縮を提言した。

現在、日銀は売却方針を示しているものの、その期間は113年と極めて長期に設定されている。玉木氏は、市場への影響を考慮しつつも、買い入れ期間と同程度の20年程度に短縮することで、年間数兆円規模の売却収入が日銀に入り、それが税外収入として国庫に納められ、所得税の控除額引き上げなど、国民負担軽減策に活用できると主張した。

 

これに対し片山財務大臣は、日銀のETF保有は金融政策の一環であり、その取扱いは日銀の政策決定に委ねられるべきであると述べるとともに、株式市場の動向次第で売却益は変動するため、安定財源と見なすことには慎重な姿勢を示した。

玉木氏は、財政の厳しさの中で、既存資産の有効活用は、金利上昇懸念や赤字国債発行問題に対応しつつ、国民の負担軽減や必要な財政支出を実現するための具体的な方法の一つであると強調した。

この提案は、既存の国家資産に新たな視点から光を当て、その有効活用を通じて財源を創出しようとする画期的な試みであり、その実現可能性はさておき、議論を深める価値は十分あるのではないだろうか。

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著者情報

文月つむぎ
ふづきつむぎ
民官双方の立場より、長らく資産運用業界をウォッチ。現在、これまでの人脈・経験を生かし、個人の安定的な資産形成に向けた政府・当局や金融機関の取組みについて幅広く情報を収集・分析、コラム執筆などを通し、意見を具申。
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