finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート

「人工知能×資産運用立国」メガバンクが進めるAIトランスフォーメーションの現在地

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2026.03.17
会員限定
「人工知能×資産運用立国」メガバンクが進めるAIトランスフォーメーションの現在地

全国銀行協会の会長を務める三菱UFJ銀行の半沢淳一・取締役頭取は、3月5日、「FIN/SUM2026」(金融庁など共催)で登壇し、「AI×ブロックチェーン時代に向けた取り組み」と題して単独講演。全銀協とMUFGにおけるAI活用の現状と今後の展開についてそれぞれ紹介しました。

半沢氏は、「新NISAの開始など政府の資産運用立国の取り組みにより、長年の課題であった家計の『貯蓄から投資へ』の動きも本格化している。こうした前向きな動きを捉え、我が国全体でリスクマネーのインベストメントチェーンを太くしていくことが不可欠だ」と指摘。その上で、「銀行界は家計と企業を繋ぐ金融仲介機能を発揮し、企業による成長投資の後押しや家計の資産形成の支援を行い、ダイナミックなマネーフローを創出する役割を担っていく。家計・企業のいずれに対しても、AIを活用し、利便性や付加価値の高いサービスの提供に挑戦しているところだ」と説明しました。

インベストメントチェーン活性化に向けたAI活用の一例として、融資業務における活用事例を紹介。「初期的な案件分析やお客様へのヒアリングポイントの確認、稟議のドラフトにおいて、AIエージェントによる支援が有効」との認識を示し、「情報整理や与信判断における効率化を実現し、営業活動など、より付加価値の高い業務にかけるリソースを捻出していく」と述べました。

 

MUFGは2024年4月、デジタル戦略統括部を新設。足元までにグループ全体でAIの業務実装が100件超進んでおり、「2026年度には250件超とすることを目指している」といいます。

足元ではSakana AI社と組み、融資業務を高度化する「AI融資エキスパート」の全国展開を目指して検証を進めています。半沢氏は「過去の稟議書やマニュアル等の形式知の取り組みに加え、MUFGが積み上げてきた融資における目利き力、勘所、判断の機微といった暗黙知をAIに取り込み、業務全体の付加価値を上げる」と狙いを説明。「案件数が増えるほどAIが行員の思考プロセスを学び、判断軸を獲得し、精度の向上が図られる。さらに専門家がナレッジを承認・管理することで品質を高め、MUFG標準として当社の暗黙知を蓄積する枠組みの整備も、差異化を進める鍵になる」と説明。将来的には「他業務における暗黙知もアセット化し、AIに取り込むことが可能」との考えを語りました。

リテール部門では、昨年6月、専用アプリを中心とする新ブランド「エムット」の提供を開始。「銀行・証券・信託・カードを始めとするグループ各社の幅広い金融サービスをシームレスに利用できるものであり、AI機能の実装やOpenAI社との戦略的なコラボレーションによって、新たな体験価値の提供にも取り組んでいる」と述べました。ウェルスナビ社と共同開発しているアドバイザリープラットフォーム「MAP」についても、「MUFGの多様なデータとAI技術を活用し、お客様1人1人の状況やライフステージ、ライフイベントに寄り添った最適なアドバイス提案をしていくことを目指していく」と話しました。

 

加えて、銀行界全体として、ブロックチェーン技術の活用やAIの悪用を念頭に置いたサイバーセキュリティ対策にも取り組んでいく姿勢を示しました。

 

SMFG磯和氏、「《昔の野球的》なこの国を変える」

三井住友フィナンシャルグループの磯和啓雄・執行役員専務グループCDIOはAIの実装を阻害する硬直的な組織文化を打破するための人材配置・育成に向けた考えを、単独講演で語りました。

構想を語る磯和氏

磯和氏は、支援先の企業規模ごとの縦割りを脱し、同じ担当者が大企業にもスタートアップにも顔を出すサイクルを創出するなどの構想を説明。その上で、「部長などの今の偉い人よりも、今入って来る人材の方が絶対にAIに詳しいはずだが、ほとんどの企業では部長のハンコがないと前へ進まない。下手な3年生がベンチに入れるのに、上手い1年生はトンボをやっている昔の野球と同じ。このへんを変える必要があり、(磯和氏自身の)最後の仕事として一生懸命やろうかなと決意をした」と語りました。

 

「FIN/SUM2026」では、みずほフィナンシャルグループの上ノ山信宏・執行役常務グループCDOも登壇。同グループにおけるAI活用の取り組みとともに、テクノロジー発展が加速する状況下での経営戦略の課題と展望を語りました(関連記事《「事務職大規模削減」報道で注目のみずほFG、執行役常務CDOが胸の内を語る》に詳細)。

 

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #フィンテック・DX
  • #SMBC
  • #三菱UFJフィナンシャル・グループ

おすすめの記事

パフォーマンスは「eMAXIS Neo」や「半導体」など先端技術関連に集中=2026年5月ファンド収益率上位

finasee Pro 編集部

「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド

finasee Pro 編集部

資金流入額が回復、「国策に売りなし」で国内AI、半導体、防衛などのファンドが人気=26年5月投信概況

finasee Pro 編集部

SBI証券の売れ筋で「S&P500」が巻き返す、大型IPO接近で人気化する「NASDAQ100」よりランクアップ

finasee Pro 編集部

顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ

Ma-Do編集部

著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
パフォーマンスは「eMAXIS Neo」や「半導体」など先端技術関連に集中=2026年5月ファンド収益率上位
日本の金融競争力を左右する「プライベート市場のデータ基盤高度化」―課題と現在地
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
SBI証券の売れ筋で「S&P500」が巻き返す、大型IPO接近で人気化する「NASDAQ100」よりランクアップ
資金流入額が回復、「国策に売りなし」で国内AI、半導体、防衛などのファンドが人気=26年5月投信概況
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
顧客の「将来」と「今」に価値を提供し、地域に好循環を生み出すのがFFGの使命 case of 福岡銀行/ふくおかフィナンシャルグループ
SBI証券の売れ筋で「S&P500」が巻き返す、大型IPO接近で人気化する「NASDAQ100」よりランクアップ
資金流入額が回復、「国策に売りなし」で国内AI、半導体、防衛などのファンドが人気=26年5月投信概況
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【バランスファンド編】
マネックス証券で「日経225」への強気の見通し強まる、米国株では「NASDAQ100」が急浮上
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
NISAの次に問われる本丸--企業型DC・iDeCo、個人向け国債、そして資産形成助言の再設計
佐々木城夛の「バタフライ・エフェクト」第19回:デジタル化の否応なしの進展が中核市の人口流出を加速させる?
「支店長! 研修は受けたのですが、投信をセールスできる気がしません。慣れるしかないのでしょうか?」
顧客利益の最善を追求し、人生の質を高めることが IFA業界の発展と社会貢献につながる
三井住友銀行で新ファンド「フューチャーガイド」がトップ、「世界のベスト」も根強い人気
インデックス投資から始めた顧客を「思考する投資家」へ導くために ――対面営業を主体とする投信販売会社・本部投信担当者に求められる視点――
SBI証券の売れ筋で「WCM」がランクイン、「FANG+」を押しのけて高い順位に進んだ理由は?
「オルカン」「S&P500」「世界のベスト」に続くファンドは? 「スペースX」への関心で購入停止ファンドも=資金流入額上位20ファンド
ファンドアナリスト篠田 尚子が2026年第1四半期を振り返る~投資信託の今と、これから
信託ならではの専門性をオンラインで実現 独自のハイブリッド型チャネル戦略を推進 case of 三井住友信託銀行
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら