finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

岩本 健已
岩本 健已
株式会社想研 執行役員
2024.12.12
会員限定
100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

アドバイザーの皆さまは、人生100年時代を前提に、お客さまが豊かな老後を過ごせるよう、資産の形成や取り崩しについて丁寧なアドバイスをされていることと思います。一方で、皆さま自身が心のなかで、50歳代に入ったら仕事のゴールライン、すなわち定年も近いと思い込んでいらっしゃるとしたら、それは大いなる矛盾ではないでしょうか。定年はゴールラインではなく、むしろ次のスタートラインではないでしょうか。

研修で講師としてお声がけをいただくと、私は自己紹介も兼ね、自らの職業人人生をマラソンランナーに例えて話をします。
ゴールまで残り5㎞のボードが見え、あと一息と思った瞬間、不幸にも片足のシューズが脱げてしまった。さあどうする?やめようか、リタイアしようか。いやいや、せっかくここまで来たのだから、片足が裸足のままでゴールを目指そう――。私は後者を選択しました。走り出し、やっとゴールラインにたどり着いたと思ったら、そこは次のレースのスタートラインだったのです。私は再び走り出しました。
すると前方に給水場が見えます。テーブルの上に置いてある紙コップの水を飲み干すと、今度は競技委員の方から「ここから競技はマラソンから競歩に変わります」とコールされました。仕方ない、競歩選手になって、前に進もう。

ざっとこれが我が47年の職業人人生です。銀行・証券会社・資産運用会社という金融業界をマラソンとするなら、現在働いているメディア業界が競歩にあたります。

ここで大切なことはマラソンランナーであれ競歩選手であれ、自分の力で走りきれる、歩ききれることではないでしょうか。ビジネス環境のせいにするまえに、自身の自立ではないでしょうか。

マラソンの話に続き、クラシックカーの話をすることもたびたびです。それは、私自身の目指す姿がクラシックカーと重なったからでした。

60代の10年間、私はスイス・ジュネーブに本社のある日本法人に勤務していました。本社の祖業がプライベート・バンキングビジネスであり、機会があればジュネーブに渡り、本場のプライベートバンカーからビジネスの真髄を学びたいと思いました。

思いがかない、ジュネーブ出張が実現し、プライベートバンカーから直接その真髄を聞き出すことができました。目的は達成しました。しかし、私にはそれ以上の収穫がありました。ジュネーブ本社の玄関脇には一台の車が停まっていました。一目見て、それがクラシックカーとわかりました。

ぶしつけにも「この車に乗ってみたい」と伝えたところ、首尾よく乗せていただき市内を巡りました。本社に戻って運転手さんにお礼を言うと、運転手さんは自慢げに「見てください、この車にはナンバープレートがついています。だから公道を走れます。公道を走れなくてはクラシックカーと呼べません。ただ、クラシックカーにはひとつ難点があります。部品が欠品。部品が無いのです。もし必要なら、たとえネジ1本でも自分でつくらなければなりません。さらにクラシックカーは、新車とは違う価値があり、新車をしのぐ価格でなければ。」と言いました。

私は、その瞬間、「自分が目指すロールモデルはこれだ。クラシックカーだ。」と心のなかでさけびました。「私にとって部品とは、これまで積み重ねてきた500回の研修講師経験と400本のコラム執筆だ。」と。私は今、クラシックカーになって公道を走り続けています。

アドバイザーの皆さまは、人生100年時代を前提に、お客さまが豊かな老後を過ごせるよう、資産の形成や取り崩しについて丁寧なアドバイスをされていることと思います。一方で、皆さま自身が心のなかで、50歳代に入ったら仕事のゴールライン、すなわち定年も近いと思い込んでいらっしゃるとしたら、それは大いなる矛盾ではないでしょうか。定年はゴールラインではなく、むしろ次のスタートラインではないでしょうか。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1
前の記事
「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~
2024.11.28
次の記事
100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~
2024.12.26

この連載の記事一覧

岩本健已の志高く腰低く声明るく

100歳人生の時代(下)~コラム最終回にお伝えしたい3つの矜持~

2024.12.26

100歳人生の時代(上)~定年がゴールではない~

2024.12.12

「岩本の研修は即効性がない」とのお叱り ~人生には無駄に見えて重要なことが沢山ある~

2024.11.28

防御は最大の攻撃なり アイスホッケーと投信窓販

2024.11.14

KKR創業者・クラビス氏の「私の履歴書」は必読です 

2024.10.31

「ドブ板」の日米比較 選挙も営業も地道に泥くさく

2024.10.24

米国で出会った「水もしたたる良い男」 ~アドバイザーの模範生?~

2024.10.10

私の人生を変えた、たった一文字 ~秋田の老舗女将の風呂敷~

2024.09.26

AI時代に生き残る仕事は? 大前研一氏の予言は「介護士」、岩本予想は「資産運用アドバイザー」

2024.09.12

あなたの転機になった言葉は何ですか
~「セレンディピティ」に取りつかれた私~

2024.08.22

おすすめの記事

資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況

finasee Pro 編集部

投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】

Ma-Do編集部

暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか

川辺 和将

ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目

中村 裕己

eスマート証券の売れ筋から「国内債券」の順位が落ちる、新たに加わったファンドとは?

finasee Pro 編集部

著者情報

岩本 健已
いわもと・たけみ
株式会社想研 執行役員
1953年(昭和28年)生まれ71歳。銀行・証券会社・資産運用会社と金融業界一筋から、2023年に金融メディアの(株)想研に入社。銀行系投資顧問会社設立メンバー(1985年)、銀行の投信窓販解禁準備責任者(1997年)などを務める。全国地方銀行協会主催の新任支店長研修で3年連続講師。約60の銀行に対し、約500回、延べ約2万人に研修を実施する。趣味はアイスホッケーで71歳の現役選手(GK)。北海道苫小牧市の「王子製紙nepiaリンク」にアイスホッケー関連書籍300冊超とパネル等を寄贈。ビジネス信条は「信頼と継続」。著書「『志』高く『腰』低く『声』明るく」(地域金融研究所)
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
投信ビジネスに携わる金融のプロに聞く!「自分が買いたい」ファンド【アクティブファンド編】
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
「支店長! 正直なところ顧客本位と顧客満足の違いが分かりません」
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
SBI証券で“やはり強い”「オルカン」「S&P500」「FANG+」、一方で「ピークは7月末」で価格は横ばいの懸念も
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
暗号資産の"金商法適用"が既定路線に!有識者からは「正気の沙汰か」「ギャンブルだ」と批判も…金融審WG第2回会合で何が起きたのか
第13回 運用資産に関わる常識を疑え!(その2)
高金利通貨での運用は有利?
浪川攻の一刀両断
個人投資家がアドバイザーを選ぶ時代に、「J-FLEC」の検索エンジンに学べ
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
松井証券の売れ筋に現れた次代のスター候補銘柄、「オルカン」を大きく上回るパフォーマンスで注目のファンドとは?
楽天証券ランキングの「S&P500」至上主義に危うさ、実はもっと好成績のファンドがある!?
資金流入額は「株式型」への流入増で7カ月ぶりに増額、パフォーマンスは中国A株と「ゴールド」=25年8月投信概況
ファンドモニタリングは、どの指標を参照すればいいか
(1)インデックスファンドはトラッキングエラーに注目
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
信頼たる資産運用アドバイザーには理由(わけ)がある “進化”した米国の資産運用ビジネスから日本が学ぶべき点は何か? 【米国RIAの真実】
FPパートナーへの業務改善命令は"FDレポートの保険版"?金融庁が処分にこめた3つのメッセージ
特別対談/みずほ証券 浜本吉郎代表取締役社長×楽天証券 楠雄治代表取締役社長
提携から3年、価値観の相違に衝突する場面も
顧客が心地よく使えるシームレスなサービスを
「ゴールベース資産管理」の実践を通じストックビジネスへの転換を加速させていく case of 足利銀行
【プロはこう見る!投資信託の動向】
2025年4月の株価急落は変化のトリガー、米国株式への強烈な資金フローの向かう先とは?
金融庁の大規模改編案は、下火気味の”プラチナNISA構想”の二の舞になるのか?【オフ座談会vol.7:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
地域金融機関44行が参加 バランスシート経営の強化へ向けたコンソーシアムが始動
「支店長! 同行訪問していただく際、緊張してうまく話せなくなってしまいます!」
令和のナニワ金融?万博でにぎわう大阪府の金融機関事情
【金融風土記】
【連載】こたえてください森脇さん
④ネット証券ではなく、自金融機関で投信購入するメリットを説明できない。
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら