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今月スタートした「投資運用関係業務受託業」を金融庁が激推し!金融機関に勤める中堅・若手の有望な移籍先に?

川辺 和将
川辺 和将
金融ジャーナリスト
2025.05.22
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今月スタートした「投資運用関係業務受託業」を金融庁が激推し!金融機関に勤める中堅・若手の有望な移籍先に?

任意の登録制度として今月1日にスタートした「投資運用関係業務受託業」。資産運用会社などがミドルバックオフィス業務を外部委託する際に受け皿となる、新たなビジネス形態です。そもそもミドルバックという「裏方仕事」を専門とするだけに存在感を示しにくい業態になりそうですが、金融庁内からは「金融機関に勤める若手・中堅のネクストキャリアになる」と期待する声が聞こえます。そのワケは……

海外・非金融から参入の可能性も

昨年(2024年)5月に成立した金商法等改正法によって、5月1日に「投資運用関係業務受託業」の制度が始まりました。ここでいう「投資運用関係業務」とは、基準価額の算定に必要な「計理」業務や、コンプライアンス業務を意味します。この新たな受託業に委託する事業者には、投資運用業に登録する際に要件が一部緩和されるというメリットが与えられます。

 

実際に新受託業の登録を受ける可能性がある業態としては、計理業務を担っている信託銀行や運用会社が考えられます。コンプラ業務については、海外では非金融系事業者がシェアを伸ばしている例もあり、国内でも他業種が参入する可能性があります。

金融庁内からは、「コンプラ専門の受託業を担っている海外事業者が、日本に拠点を構えて新受託業に登録するかもしれない。そうなれば、日本にも展開する外資系金融機関からしてみれば、日系システム大手よりも格段に使い勝手のいい存在となる」という見方も浮上しています。

 

新受託業の創設は、岸田文雄前政権が策定した「資産運用立国実現プラン」の延長線上に位置づけられます。

同プランでは、「成長と分配の好循環」を後押しするための環境整備の一環として、資産運用業の高度化が打ち出されました。とりわけ重視していたのが、基準価額の算定作業における運用会社と信託銀行の重複を解消する「一者計算」への移行と、新興運用業者の参入促進です。

新興運用業者がミドルバックオフィス業務の専門人材を国内で確保することは困難であるため、外部委託の規制を緩和したうえで、新たな受託業を創設して参入を後押しする狙いです。新興業者だけでなく既存の大手事業者の間でも、事業全体の効率化を進めるために新受託業との連携を検討する動きが広がるかもしれません。

 

当局幹部「国内金融人材の流動性が乏しすぎる」

金融庁は新受託業を普及させるため、すでに事業者向けの説明会などを開催しています。説明会の趣旨は、新業態の参入や連携を検討する経営層に向けた情報発信です。加えて、庁内からは「金融機関に勤める中堅・若手人材にもアピールしたい」という別の狙いも聞こえてきます。

 

「運用に関するコンプラ専門人材は、国内ではその大半が大手運用業者に所属しており、人材流動性が乏しすぎる」――金融庁の中堅幹部はそのように批判します。「国内大手に属する専門人材からすると、どこの馬とも知れない新興運用会社へ移る合理性が感じられないのかもしれない。仮に現職の給料の倍のオファーを受けたとしても、来年の存続が危ぶまれるなら移籍しないだろう。しかし、多数の運用会社のコンプラ業務を受託する会社に移るのであれば、一つの事業者の命運に左右されにくい将来を描けるので、ネクストキャリアとしても魅力的だ。新受託業が、キャリアアップを望む専門人材にとっての中間的な受け皿になってほしい」と期待を口にします。

 

既存事業者から新分野へと専門人材がシフトする動きは、新受託業の利用を活性化させるためにも必要不可欠です。しかし同時に、そもそも新受託業の登録事業者がごくわずかであれば、そこから新たに転職の機運が生まれようもありません。「鶏が先か、卵が先か」のパラドクスに迷い込むことなく、事業者参入と人材確保の両方をスムーズに後押しすることができるか、金融庁の手腕が試される局面となりそうです。

海外・非金融から参入の可能性も

昨年(2024年)5月に成立した金商法等改正法によって、5月1日に「投資運用関係業務受託業」の制度が始まりました。ここでいう「投資運用関係業務」とは、基準価額の算定に必要な「計理」業務や、コンプライアンス業務を意味します。この新たな受託業に委託する事業者には、投資運用業に登録する際に要件が一部緩和されるというメリットが与えられます。

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著者情報

川辺 和将
かわべ かずまさ
金融ジャーナリスト
金融ジャーナリスト、「霞が関文学」評論家。毎日新聞社に入社後、長野支局で警察、経済、政治取材を、東京本社政治部で首相官邸番を担当。金融専門誌の当局取材担当を経て2022年1月に独立し、主に金融業界の「顧客本位」定着に向けた政策動向を追いつつ官民双方の取材を続けている。株式会社ブルーベル代表。東京大院(比較文学比較文化研究室)修了。
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