finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
資産運用の常識を疑え

第4回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その2)

篠原 滋
篠原 滋
株式会社お金の育て方 代表取締役/資産運用ナビゲーター
2024.11.29
会員限定
第4回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その2)

「資産運用の常識」はどこまで信頼できるのか? お金の育て方 代表取締役/資産運用ナビゲーターの篠原滋氏が、テーマごとにその真偽を検証し分かりやすく解説します。

前回に引き続き、今回もアクティブファンド投資に関する「常識」を疑います。

【アクティブファンド投資の常識②】
アクティブファンドの運用実績はインデックスファンドに劣る?

アクティブファンド(以下、「アクティブF」)投資で幅広く信じられている「常識」のひとつが、「アクティブファンドの運用実績はインデックスファンド(以下、「インデックスF」)に劣る」というものです。この「常識」が最近のインデックスF人気を支える最大の要因と考えられます。理由としては高いアクティブFの信託報酬などのコストとそれに見合わない運用力が挙げられるようです。

この「常識」は正しいと考えても良いでしょうか?

今回は、アクティブFのリターンとインデックスFのリターンをできるだけ客観的に比較してみます。まず初めに直近の日本株ファンドにおける状況を確認しますが、測定期間やタイミング、投資対象を変えての比較も試みます。

ただし、アクティブFのリターンは運用の成否によってファンド間で大きく差がつくため、評価機関が算出するアクティブFの平均リターン(*)で比較します。またインデックスFに投資してもその指数通りのリターンは得られず、少なくともコスト分は少額といえども指数のリターンを下回るため、インデックスFについても評価機関が算出する平均リターン(*)を使って検証します。

(*)平均リターン:使用したデータの詳細は、各図の脚注参照

まず初めに直近の日本株ファンド(以下、「日本株F」)で比較します。

(1)直近の日本株FではインデックスFが優位

野村総合研究所Fundmarkが算出する最新(2024年9月末現在)のデータを用いて過去3年および5年間の年率リターンで比較します(図1)。

両期間ともにインデックスFの平均がアクティブFの平均を上回っています。日本株でのインデックスF人気もうなずける結果となりました。ただしその差をみると、3年間よりも5年間の方が年率換算の差は小さくなっています。2021年9月以前の方がその後に比べてアクティブFが健闘していたことが推察されます。

図1 日本株アクティブFとインデックスFの平均リターン

☑拡大画像

 

(2)ただし測定期間やタイミングによってインデックスFの優位性は変化

次に測定タイミングを変えてアクティブFとインデックスFの平均リターンを比較します。図1と同じデータをより長期で用い、各暦年のデータで両者を比べます(図2)。

両者の優劣は年によって大きく変化します。測定した全期間で平均すると年率0.2%だけややインデックスFが優位ですが、ほぼ互角と言えるでしょう。つまり、運用実績は長期では同水準にも関わらず、測定する期間やタイミング次第で、両者の実績は良くも悪くも見えてしまうということです。

ただし、点線で囲ったように、最近はインデックスFが優位な期間が続いています。考えられる理由と今後の可能性については次回お話しします。

図2  日本株アクティブFとインデックスFの平均リターン差

☑拡大画像

 

(3)米国株ではインデックスFが優位だが、他市場ではアクティブFが優位

次に日本株の枠を超えて世界株投資について検証してみます。

日本株Fでの分析では日本国内籍の投資信託を使って行いました。しかし、世界株では国内籍のみでは有効な検証に必要な十分なファンド数が得られませんし、運用実績がまだ短いものも少なくありません。そこで米国の評価機関が毎年公表している測定結果から出来るだけ長期(15年)のデータを用い、その優劣を確認します(図3)。

60%超のウエイトを有する米国株でアクティブFが振るわないため、世界株でもアクティブFはさえません。しかし世界から米国を除いた外国株投資ではアクティブFが優勢です。

世界株の中で米国株のみ状況が異なる理由と今後の展望についても次回ご説明します。

図3 世界株アクティブFとインデックスFの平均リターン差

☑拡大画像

【以上のことから導き出された結論:アクティブファンド投資の常識②】

アクティブFのリターンとインデックスFのリターンのどちらが優れているかは一概には結論づけることはできない。測定期間の長さやタイミングあるいは投資対象市場によっても優劣は異なる。

過去については一概には結論づけられないことは分かりました。それでは今後についてはどのように考えられるでしょうか。最近の日本株や米国株で見られるようなアクティブFの不振は今後も続くのでしょうか? もしアクティブFが復権する場合どのような理由が考えられるでしょうか?

次回もアクティブF投資の常識と考えられている「アクティブFはインデックスFに勝てない?」を疑います。

 

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #投資信託
  • #アクティブ運用
前の記事
第3回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その1)
2024.10.23
次の記事
第5回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その3)
2024.12.26

この連載の記事一覧

資産運用の常識を疑え

第9回 投資信託選びの常識を疑え!(その1)

2025.04.30

第8回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その6)

2025.03.31

第7回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その5)

2025.02.28

第6回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その4)

2025.01.31

第5回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その3)

2024.12.26

第4回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その2)

2024.11.29

第3回 アクティブファンド投資の常識を疑え!(その1)

2024.10.23

第2回 インデックスファンド投資の常識を疑え!(後編)

2024.09.27

第1回 インデックスファンド投資の常識を疑え!(前編)

2024.08.30

おすすめの記事

まだ誰も見つけていない“スター候補”企業に投資できる―今、あらためて投資の醍醐味を提示する「クロスオーバー投資」とは

Finasee編集部

1位は「シティグループ米ドル社債/欧米マルチアセット戦略ファンド2024-12」! 債券持ち切り型運用に迷い?(24年12月の外債ファンド)

finasee Pro 編集部

10億円以上の資産家が多いのは山口県、北陸ではNISA活用が進む。県民性から読み解く日本人の投資性向とは?

Finasee編集部

「正しい」資産運用を地域に提供し、獲得した信頼で残高を拡大させていく case of 広島銀行

Ma-Do編集部

地方銀行の売れ筋は「店頭」「ネット」で“すみ分け”。市場変動期に対面販売で問われる相談力

finasee Pro 編集部

著者情報

篠原 滋
しのはら しげる
株式会社お金の育て方 代表取締役/資産運用ナビゲーター
1996年に野村證券株式会社にて投資信託分析・評価業務を立ち上げ、独自の定性評価中心のプロセスを確立。2000年の野村ファンド・リサーチ・アンド・テクノロジー株式会社(“NFR&T”、野村フィデュシャリー・リサーチ・アンド・コンサルティング株式会社(”NFRC”)の前身)設立を経て、25年にわたり東京、ニューヨーク、ロンドンを拠点に国内外の多数の運用会社/ファンドの分析調査及び選定ファンドの組み合わせによる投資助言に従事。2021年9月に独立し、独自の視点に基づく合理的な資産運用並びに投資信託活用に関する情報発信を開始。2022年6月に株式会社お金の育て方設立に参加し代表取締役に就任。国際基督教大学教養学部卒。米国ニューヨーク大学スターン経営大学院経営学修士(MBA)課程修了。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「外国株式型」の純資産が3カ月連続で減少して資金流入にも陰り、パフォーマンスでは「ゴールド」(為替ヘッジあり)が好調=25年4月投信概況
新刊『海外投資家はなぜ、日本に投資するのか』の著者に聞く、日本株のさらなる可能性
ワイズマン廣田綾子氏
【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 
「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
野村證券の売れ筋で「国内株」の人気は浮上、「S&P500」が急落する中で踏みとどまったファンドとは?
【連載】金融史観~金融史が語る資産形成の未来~
⑫振り子の金融史観(下)―分断が進む現代の先を読む―
プラチナNISAだけじゃない!「立国議連」提言書で見逃せない注目ポイント3選
「支店長! 他の金融機関と比較して、投信の取扱商品が少ないので投資の案内がしにくいです!」
「支店長! 本音が知りたいです! 顧客本位と成果(収益)のバランスをどのように考えていますか?」
日本におけるゴールベースアプローチの現状ー米国から学ぶ「顧客本位ともうかる仕組み」の両立
野村證券の売れ筋で「国内株」の人気は浮上、「S&P500」が急落する中で踏みとどまったファンドとは?
プラチナNISAだけじゃない!「立国議連」提言書で見逃せない注目ポイント3選
新刊『海外投資家はなぜ、日本に投資するのか』の著者に聞く、日本株のさらなる可能性
ワイズマン廣田綾子氏
【みさき透】視界不良の「プラチナNISA」、意外に響くネットの評判 
eスマート証券の売れ筋主要インデックスに見えた「トランプ相場」で頼りになるリスクヘッジ手段とは?
プラチナNISA新設に現実味、金融庁の懸念は業界がつい先送りした”アレ”の管理【オフ座談会vol.3:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
「外国株式型」の純資産が3カ月連続で減少して資金流入にも陰り、パフォーマンスでは「ゴールド」(為替ヘッジあり)が好調=25年4月投信概況
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑲高齢者向けNISA創設の報道で再注目される毎月分配型ファンド
国内投資促進の圧力が高まる?議連提言書と新資本主義会議が示した機関投資家への「期待」とは
楽天証券の売れ筋がほとんど動かなかったのは大きな変化の前兆か? 意外にもろかった「SCHD」
NISAで高齢者に毎月分配型解禁へ 制度の進化か参院選対策か、それとも「自民党・ネオ宏池会」の野望か 
【緊急座談会・みさき透とその仲間たち】
新潟との地銀越境統合は成功するか? 群馬県の金融事情【金融風土記】
プラチナNISAの創設案が映す「森信親イズム」の終焉
プラチナNISA新設に現実味、金融庁の懸念は業界がつい先送りした”アレ”の管理【オフ座談会vol.3:かやば太郎×本石次郎×財研ナオコ】
「支店長! 売れ筋の投資信託を3つ覚えて売れるようになりました。全ての商品を覚える必要はありますか?」
【連載】投信ビジネスのあしたはどっちだ
③トランプ関税でボラティリティが高まる今こそ能動的なフォローを
シニア向け「プラチナNISA」で毎月決算型も解禁? 毎月決算型の選び方と使い方
【連載】藤原延介のアセマネインサイト
⑲高齢者向けNISA創設の報道で再注目される毎月分配型ファンド
みずほ銀行の売れ筋上位が5カ月連続で同じ理由、株価の急落にもしっかり耐えるファンドとは?
【文月つむぎ】毎月分配型のアウト/セーフは?当局に問われる「線引き力」
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2025 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら