finasee Pro(フィナシープロ)
新規登録
ログイン
新着 人気 特集・連載 リテール&ウェルス 有価証券運用 金融機関経営 ビジネス動画 サーベイレポート
永田町・霞が関ウォッチャーのひとり言

コンプライアンス体制の不備、フィービジネス転換の遅れ… 「法人IFA調査」で浮き彫りになったIFAの課題

文月つむぎ
文月つむぎ
2023.12.21
会員限定
コンプライアンス体制の不備、フィービジネス転換の遅れ… 「法人IFA調査」で浮き彫りになったIFAの課題

先日、株式会社想研が実施した「法人IFA社長アンケート2023」の報告書サマリーが公開された。このアンケートは2023年7~8月にかけて実施されたもので、金融商品仲介業者(以下、「IFA」)64社の回答を取りまとめたものとなっている。

金融庁の「金融商品仲介業者登録一覧」には677社・者(2023年10月末時点)が載っており、その大半が法人形態となっている。当報告書は、登録業者の約1割の回答を踏まえたものであり、また、回答者の登録年や本社所在地も適度に分散していることより、我が国のIFAの実態をかなり反映していると言えよう。

複数の取引業者との契約でリスク管理が複雑に

いくつかのアンケート結果に注目したい。まず、5割のIFA法人で「金融商品取引業者との契約数」が複数あるという点だ。複数の金融商品取引業者と契約するのは、顧客にとってより良い条件で商品やサービスを提供することが可能となるからというのが最大の理由だろう。

一方、複数契約は一社契約に比べ、IFAと契約先双方においてリスク管理がより難しくなる。各金融商品取引業者は、独自にコンプライアンス体制を構築して所属IFAの監督を行っているが、基本的に自社との取引に対する管理にとどまり、他社の取引を含めた総合的な管理は、IFAが自主的に行う必要がある。

例えば、IFAの自己勘定取引や高齢者取引、通話録音、乗換取引、顧客苦情対応などにおいて、金融商品取引業者の間で管理手法やレベルに違いがあるところ、IFAが自らの収益追求を優先しようとした場合、ケースバイケースで、管理の緩い業者を使い分けるのではないかとの懸念がある。こうした見方を払しょくするには、金融商品取引業者の間で所属IFAに対するコンプライアンス管理の目線を合わせる必要があるだろう。また、各金融商品取引業者が別々に実施している所属IFAに対する定期・不定期の実地検査に関し、例えば、中立的な第三者機関がIFAと各業者との取引を全て並べて、総合的・包括的に同一目線でチェックを行うようにすることも一案である。

コンプライアンス意識の低さ 問題の根源はIFA?委託している取引業者?

一方、「金融商品取引業者を選ぶ際に重視するポイントは何か」(複数回答可)という質問については、「取扱商品の充実度」(59.4%)、「サポート部署の対応の手厚さ」(56.3%)、「システムの使いやすさ」(50.0%)という回答が上位を占める中、「コンプライアンス管理」は29.7%という数字であった。

若干話は逸れるが、今年の夏ごろ、IFAにおける仕組債販売に関し、金融庁幹部より話を伺う機会があった。その際、「IFA自らが、より深度をもってコンプライアンス管理を行う必要があるだろう。」と感想を述べたところ、幹部よりは「まずは、委託している金融商品取引業者こそが、IFAが顧客の属性や取引実態を的確に把握し得る顧客管理態勢を確立するように指導するとともに、IFAの投資勧誘実態を把握したうえでコンプライアンスの徹底を求めていくことが重要ではないか。」とのコメントがあった。

このように、当局がIFA自身の牽制体制(1線、2線、3線管理)の強化よりも金融商品取引業者の指導やモニタリングを重視していることを踏まえると、、IFA法人の社長が願う以上に、IFAに対し顧客ニーズに適う商品や使い勝手の良いシステムを提供し、攻めの営業をサポートすることと同等に、質の良いコンプライアンス管理を提供することや適切な顧客管理態勢の構築支援を行うことが金融商品取引業者には求められているように思う。

富裕層とフィービジネスの相性は

次に注目したいのは、「営業収益に対するフィー(投資信託の信託報酬、ラップの管理報酬や助言報酬)の割合」が10%未満のIFAが4割を占める一方、50%以上のIFAが2割強に留まるという点だ。取引売買に係る手数料よりも取引残高に応じた手数料(フィーベース)の方が顧客及びIFAの安定的な利益に資するという話は長年言われ続けているところだが、IFA業界では、いまだに売買手数料が主流となっている様子がうかがえる。

保険代理店業務を行うIFA(40社)において、全体の営業収益に占める(基本的に売買手数料で構成される)保険代理店業の営業収益の比率が5割以上となっている先が半数以上であることや、「ターゲットとなる顧客の金融資産額」(複数回答可)における上位が「3,000万円~5,000万円未満」(65.6%)、「5,000万円~1億円未満」(64.1%)、「1億円~2億円未満」(59.4%)となっている。運用資金に余裕があり、投資経験も相応に積んでいると思われる富裕層~準富裕層がメインの顧客であることもフィーベースが主流とならない要因かもしれない。

加えて、「貴社にとっての経営上の課題」(複数回答可)という質問への回答として、「人材の採用(アドバイザー)」(56.3%)や「新規顧客開拓」(50.0%)、「富裕層・超富裕層の開拓」(40.6%)が上位を占める中、「収益に対するフィーの割合の増加」は18.8%と低位にあるほか、「評価・報酬制度の整備」も3.1%と最下位に近い。多くの社長は「良い顧客を良い人材で増やしたい」との攻めの姿勢が強い一方、手数料体系や報酬制度等の見直しを行う意欲はあまり高くない様子がうかがえる。売買手数料よりも残高手数料の方が顧客本位であると決めつけるつもりはないが、仕組債にしろ、外貨建て一時払い保険にしろ、適合性を軽視する回転売買が当局に問題視され、手数料体系や評価・報酬制度のあり方が問われている中、IFA法人の経営者としては、それらについて、より課題認識を高める必要があるのではないかと思う。

2020年1月、「IFAが真に顧客の立場に立ちアドバイスを行うための支援と普及活動を進める」ことを目的として、一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会が設立された。同協会の倫理綱領では、合理的かつ明確な手数料体系として「顧客からアドバイスの対価を得る手数料体系や顧客の長期的利益に資する手数料体系、例えばフィーベース等の拡大を目指す」ことなどがうたわれている。顧客本位のあるべき姿を彼らなりに具体的に示した点は高く評価できる。現時点で、同協会におけるIFAの会員数は30社程度と少なく、活動内容も勉強会レベルに留まっているようだが、今後、情報発信を強化しながら仲間を増やし、IFA業界をリードする存在となることを願っている。

 

先日、株式会社想研が実施した「法人IFA社長アンケート2023」の報告書サマリーが公開された。このアンケートは2023年7~8月にかけて実施されたもので、金融商品仲介業者(以下、「IFA」)64社の回答を取りまとめたものとなっている。

続きを読むには…
この記事は会員限定です
会員登録がお済みの方ログイン
ご登録いただくと、オリジナルコンテンツを無料でご覧いただけます。
投資信託販売会社様(無料)はこちら
上記以外の企業様(有料)はこちら
※会員登録は、金融業界(銀行、証券、信金、IFA法人、保険代理店)にお勤めの方を対象にしております。
法人会員とは別に、個人で登録する読者モニター会員を募集しています。 読者モニター会員の登録はこちら
※投資信託の販売に携わる会社にお勤めの方に限定しております。
モニター会員は、投資信託の販売に携わる企業にお勤めで、以下にご協力いただける方を対象としております。
・モニター向けアンケートへの回答
・運用会社ブランドインテグレーション評価調査の回答
・その他各種アンケートへの回答協力
1

関連キーワード

  • #IFA
前の記事
金融経済教育推進機構は面白いコンテンツを提供できるか? 経験豊かな金融OBの出番に
2023.12.04
次の記事
相次ぐ株価操作問題 原因究明の秘訣は「何故、なぜ、ナゼ」にあり
2024.01.10

この連載の記事一覧

永田町・霞が関ウォッチャーのひとり言

「働けば報われる」のその先へ―― 給付付き税額控除と寄附制度が開く「資本循環国家」への道

2026.02.18

プルデンシャル生命の組織に潜む歪み――彼らは「月のウサギ」を見上げなかったのか

2026.02.12

目先の配当か、未来の土壌か――国家を再設計するという選択

2026.02.04

中道改革連合「ジャパン・ファンド構想」の見過ごせないリスクと、実現に向けた論点

2026.01.29

家計・企業・国家のリスクテイクを支える “国債消化策の基礎工事”を真剣に考える

2026.01.14

成長と財源の両立に具体策はあるか?野党「NISA再強化提言」に見る多党制時代の“建設的議論”のあり方

2025.12.19

【文月つむぎ】運用立国議連の新「緊急提言」を読み解く!NISA、税制の見直しで対応が求められる3つのポイント

2025.12.04

【文月つむぎ】証券口座乗っ取り被害ゼロへ 金融庁の新監督指針を読み解く

2025.11.07

【文月つむぎ】片山さつき新大臣に贈る言葉

2025.10.28

【文月つむぎ】統合・再編議論の先は? 金融庁WGが照らす地域金融機関の未来

2025.10.20

おすすめの記事

IFA法人のパイオニア、GAIAが上場 中桐啓貴社長に聞く 
フィービジネスを日本で定着させるために

finasee Pro 編集部

「事務職大規模削減」報道で注目のみずほFG、執行役常務CDOが胸の内を語る

川辺 和将

「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>佳作:出口戦略の大切さ【2月13日「NISAの日」記念】

finasee Pro 編集部

マネックス証券で国内株「ブル型」と合わせて「ベア型」がランクイン、「ゴールドプラス」はトップ10陥落

finasee Pro 編集部

「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>佳作:窓口で、ほどく【2月13日「NISAの日」記念】

finasee Pro 編集部

「金利の復活」局面で脚光を浴び始めた債券投資
「情報の非対称性」への依存から脱却できるか

浪川攻

著者情報

文月つむぎ
ふづきつむぎ
民官双方の立場より、長らく資産運用業界をウォッチ。現在、これまでの人脈・経験を生かし、個人の安定的な資産形成に向けた政府・当局や金融機関の取組みについて幅広く情報を収集・分析、コラム執筆などを通し、意見を具申。
続きを読む
この著者の記事一覧はこちら

アクセスランキング

24時間
週間
月間
「事務職大規模削減」報道で注目のみずほFG、執行役常務CDOが胸の内を語る
「金利の復活」局面で脚光を浴び始めた債券投資
「情報の非対称性」への依存から脱却できるか
「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>佳作:出口戦略の大切さ【2月13日「NISAの日」記念】
立教大学教授 三谷進氏に聞く―約100年の歴史を誇る米国の投信市場から、日本の投信市場が学び、超えていくべきポイントは何か
スタイル分析で確認する運用の一貫性と再現性
プライベートクレジットと解約設計の整合性を問う
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
マネックス証券で国内株「ブル型」と合わせて「ベア型」がランクイン、「ゴールドプラス」はトップ10陥落
楽天証券の売れ筋に変化、「S&P500」や「FANG+」が後退してアクティブファンドがランクイン
【投信市場の20年を振り返る】信念を持ち「顧客本位の業務運営」を続ければ、次の20年も資産運用ビジネスは成長できる
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
プライベートクレジットと解約設計の整合性を問う
「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>佳作:「あなたが悪いわけじゃない」―その一言が教えてくれた長期投資【2月13日「NISAの日」記念】
【投信市場の20年を振り返る】信念を持ち「顧客本位の業務運営」を続ければ、次の20年も資産運用ビジネスは成長できる
楽天証券の売れ筋に変化、「S&P500」や「FANG+」が後退してアクティブファンドがランクイン
「Japan Fintech Week」初日、金融庁幹部が暗号資産ETFの解禁にあっさり言及
「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>優秀賞:家族の笑顔を見るために【2月13日「NISAの日」記念】
スタイル分析で確認する運用の一貫性と再現性
ふくおかフィナンシャルグループは「資産形成と決済」で日常と未来に寄り添う次のステージへ
~「投信のパレット」7000億円突破と新サービス「vary」
「支店長! ノルマから解放されたいです!」
「投資信託で長期投資! エッセイ・コンクール」<実務者部門>結果発表!【2月13日「NISAの日」記念】
【金融風土記】九州一の大都会はどんな様子なの?‟フルスペック”福岡県の金融動向
笛吹けど踊らぬ“あの話”がついに動き出す?「高市一強」時代に金融庁が攻勢に出る5領域とは
中国銀行の売れ筋に新規取り扱いファンドが続々ランクイン、「WCM世界成長株厳選ファンド」が第2位に
「銀証連携」の強化と「支社体制」の導入でコンサルティング営業の高度化を加速 case of 東京きらぼしフィナンシャルグループ
総合証券モデルの利点は残し、それ以上の価値を生む「合弁会社設立」から見えてくるグループの覚悟 case of 三井住友フィナンシャルグループ/ SMBC日興証券
福岡銀行で「netWIN」や「米国成長株投信」を再評価、一方で国内高配当株や純金ファンドの人気も継続
SBI証券の売れ筋に変調? 純金価格の急落と米株物色の変化が「NASDAQ100ゴールドプラス」と「FANG+」を押し下げ
ランキングをもっと見る
finasee Pro(フィナシープロ) | 法人契約プランのご案内
  • 著者・識者一覧
  • 本サイトについて
  • 個人情報の取扱いについて
  • 当社ウェブサイトのご利用にあたって
  • 運営会社
  • 個人情報保護方針
  • アクセスデータの取扱い
  • 特定商取引に関する法律に基づく表示
  • お問い合わせ
  • 資料請求
© 2026 finasee Pro
有料会員限定機能です
有料会員登録はこちら
会員登録がお済みの方ログイン
有料プランの詳細はこちら