官庁が編み出す“霞が関文学”を読み解き、金融業界の現状と今後を考える本連載。今回取り上げる「作品」は、商品の統治(プロダクトガバナンス)という謎めいた概念が登場する、「金融審議会顧客本位タスクフォース中間報告」(2022年12月公表、以下「TF中間報告」)です。
聞き慣れない言葉を官庁が振りかざしたら、それは役所が事業者に対する締め付け強化を視野に入れた新たな動きに出るサインでもあります。金融当局はプロダクトガバナンスというカタカナ語を持ち出し、意味上の主語がはっきりしないその曖昧さを足掛かりにして、金融商品の組成・運用会社だけでなく販売会社に対しても、いわば「製造物責任」を負わせる方向を模索しています。政府の「資産所得倍増プラン」(22年11月公表)など関連文書にも目を向けながら、検証していきます。