官庁で編み出される“霞が関文学”を読み解き、金融業界の現状と今後を考える本連載。今回取り上げる「作品」は、世界的なESG機運の高まりの陰で問題視されるグリーンウォッシュ(見せかけの環境負荷軽減)対策として、ESG投信を運用する事業者に対し十分な情報開示などを求める規定を追加した「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」(3月31日改正)です。
ESG投信とはESGを前面に押し出す投信である——。論理破綻ぎみにも見える定義を金融庁が打ち出した狙いは何か。議論の核心を回避する同語反復(トートロジー)的な論法は役所的な日和見主義の表れに過ぎないのか。それとも隠れた狙いがあるのか。取材を踏まえて考えます。