官庁が編み出す“霞が関文学”を読み解き、金融業界の現状と今後を考える本連載。今回取り上げる「作品」は、日本証券業協会(日証協)が2月15日に公表した、仕組債の販売に関する改定指針案(「複雑な仕組債等の販売勧誘に係る「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」等の一部改定について(案)」)です。
霞が関でも兜町でもなく、「有楽町文学」?
日証協は国内の証券会社で構成する自主規制機関ですので、その資料を「公文書」と呼ぶことはできません。とはいえ、官民双方の思惑を取りこみつつ、矛盾のなさそうなストーリーに落とし込んでいく玉虫色の記載ぶりは、霞が関文学を思わせます。証券界で作り出される「兜町文学」と、官庁発の霞が関文学との融合という意味では、兜町と霞が関の中間地点をとって「有楽町文学」とでも命名したいところです。