はじめまして、金融ジャーナリスト兼「霞が関文学」評論家の川辺和将です。
連載の1回目に取り上げる「作品」は、顧客が金融商品の情報を簡単に比べられるよう、金融庁が設けた統一の書式に沿って各金融機関が任意で情報提供する書面「重要情報シート」です。その一部記載項目の情報提供が任意ではなく義務化される見通しとなりました。形式上は「一部」の義務化ではあるものの、事業者側では「実質的なシート自体の義務化か」(証券会社幹部)と動揺が広がっています。
つかみどころがない、というか、つかもうとする手を擦り抜けていくようなその独特の曖昧な言葉遣いから、霞が関文学と揶揄される中央官庁の公文書たち。一見するとナンセンスにすら感じられる漠然とした記述がもたらす広大な解釈余地は、官民双方の思惑が衝突し、激しい駆け引きが繰り広げられる隠れた闘争の場でもあります。この連載では金融庁の官僚たちが作り上げた霞が関文学の混沌に目を向け、制度改正の動向と金融業界の行方を考えます。
はじめまして、金融ジャーナリスト兼「霞が関文学」評論家の川辺和将です。
連載の1回目に取り上げる「作品」は、顧客が金融商品の情報を簡単に比べられるよう、金融庁が設けた統一の書式に沿って各金融機関が任意で情報提供する書面「重要情報シート」です。その一部記載項目の情報提供が任意ではなく義務化される見通しとなりました。形式上は「一部」の義務化ではあるものの、事業者側では「実質的なシート自体の義務化か」(証券会社幹部)と動揺が広がっています。