法改正を踏まえて受け取り方を考えよう

少し説明が必要ですね。

最近の高齢者雇用安定法の改正、年金制度改正法により、次のようなことが可能になりした。

1. 70歳まで定年を引き上げるか、70歳までの継続雇用制度を導入するか、企業にはいずれかの措置を講ずる努力義務があります(既に65歳までは雇用機会を確保することが義務化されています)。
無理に働くことはありませんが、少なくとも65歳、できれば70歳まで働けると家計は非常に安定します。

2. 2020年6月5日施行の年金関係法改正で、企業年金は受給開始年齢を60~70歳の間で設定することができるようになっています。
企業年金の規約にもよりますが、山本さんの会社の場合、5年間繰り下げ可能ですので、受給を後にずらす(繰り下げる)ことで収入の平準化ができます。また企業年金では多くの場合「年金給付利率」を設定しているので、繰り下げ期間に応じて年期額が増額されます。

3. 2022年5月から、iDeCoに加入できる年齢が60歳未満から65歳未満まで拡大されます。さらに、iDeCoの年金受け取り開始年齢は75歳に引き上げられています。
これによって、60歳で企業型の確定拠出年金の加入者ではなくなっても、引き続き勤めて厚生年金保険の被保険者であればiDeCoの加入者になることが可能になりました。掛金を拠出しながら資産を増やせます。65歳以降75歳までは、運用指図者として(掛金を拠出せず、積立金の運用のみ可能)運用を続けて資産を増やすことができます。

4. 2022年4月から公的年金の受給開始可能年齢を75歳まで繰り下げることが可能になり、1カ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額されます(最大84%増額)。
山本さんのケースでは75歳まで繰り下げる必要性は低いので、72歳から受け取るプランをお勧めします(58.8%増額)。

いかがでしょうか。年金の受け取り方を少し工夫することで、65歳以降の収入が平準化でき、かつ年金額も増え、結果として貯蓄残高を大幅に長生きさせることも可能になります。「わくわくライフ」の実現に向け、事前にしっかりとしたプランを立てましょう。