女性の老後は交際費増の傾向あり

まずは公的年金。年金額は、物価スライド、賃金スライドに加え、マクロ経済スライドという方式で調整されます。これらは物価や賃金の水準に合わせて年金が増額されたり減額されたりするものですが、少子高齢化により現役世代の負担を軽減するために、当面の間「スライド調整率」が設定されています。所得代替率が一定の水準に下がるまで「調整」が続くので、年金額は今後の物価上昇には追い付いていけない(実質価値低下の)可能性があります。

次に支出の面。一般に老後は生活費が減ると考えている人が多いのですが、実は老後の生活費はそれほど減りません。それどころか、項目によっては増えていきます。

単身女性の場合、60歳以上では住居費(家賃など)、教養娯楽費、被服履物などは減っていますが、食料(食費、外食費など)は増加、「その他消費支出」は高い水準を維持していることがわかります。「その他消費支出」の中の約4割は「交際費」で、60歳以上では「交際費」は6割近くになります。こうした傾向もあり、60歳以降の消費支出の中で「食料(外食含む)」と「交際費」だけで4割近くを占めるようになります。

あくまでも統計上の話ですが、大方の経費は単身男性の方が多い一方、交際費では単身女性が30代前半で単身男性の1.3倍、30歳代後半から50歳代では1.6倍、60歳以上では約1.7倍の金額になっています。単身男性も30歳代に比べて60歳以降は交際費が増えますが、男性の増え方は30歳代の1.5倍であるのに対し、単身女性はなんと2倍以上になります。まさに「老後」というよりは「わくわくライフ」といってもいいでしょう。

しかし、老後必要な資金は日常生活費だけではありません。次のような支出も想定しておく必要があります。

生活インフラの維持(大型家具・家電の買い替え、修理等) 医療費 親の介護費用 住宅修繕費(マンションの場合、大規模修繕費等の負担あり) 大規模災害への備え

このように“わくわくライフ”をエンジョイするためには、余裕のある資金確保が必要です。