「新しい富裕層」に向けた合理的な提案で効率的に案件を獲得

JAMの主な取り扱い商品は、債券やETFなどの証券系商品のほか、国内外不動産、M&A、保険などがあるが、現状では証券系商品が8割、特に債券が大多数を占めているという。

戦略的なメディア露出が奏功し、現在はメディア経由での引き合いが増えてきているものの、創業から2年ほどはアドバイザーによる新規開拓による集客がほとんどだったこともあって「新しい富裕層」が顧客層の中でも一定の存在感を示しているという。

JAMでは、営業スタイルは個々のアドバイザーに任せており、ターゲットとなる顧客層はさまざま。堀江氏の場合は、40 ~ 50代の経営者や富裕層の集まるコミュニティを見つけ、彼らの志向に徹底的にアジャストしていくことで信頼関係を築いていったという。「ひたすら飲み会に出るといった古典的なやり方からセミナーへの登壇まで、証券会社や銀行ができない手法で、彼らがリーチしていない層をターゲティングしていました」。

こうして獲得した「新しい富裕層」の特徴は、提案の合理性で判断を下すこと。こまめな連絡、丁寧な接遇といった要素は加点にならない。「例えば『ランニングコストのかかるラップと、販売手数料しかかからない債券、あなたの目的であれば後者で十分カバーできます』といったシンプルな提案がベースで、他社との競合になってもほとんど負けません」と豪語する。

富裕層が相手となると、1回当たりの取引額が大きく、取引件数は少ない効率的な営業が可能だ。JAMの登録証券会社数はエース、楽天、SBIなど実に8社に上るが、取引件数が少ないため、さほど負担にはならないのだという。

ただし、こうした提案では顧客を増やすことでしか成長が期待できない。そこで今後は証券系商品の比率を下げ、ストック収入を増やしたい考えだ。このストック化の大きな柱となる商品が、秋にサービスインを予定している手数料1%という低コストのオリジナルラップ口座、「JAM WRAP」だ。2~3%のという一般的な手数料水準の半分以下のコストでのラップ口座の開発を、堀江氏はどう実現したのだろうか。

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時代の流れに沿って増えつつある「新しい富裕層」を捉え、短期間で大きな成長を見せるJAM。新たな切り札「JAM WRAP」とはどんなサービスなのか。「『日本最大の金融機関』は夢物語か? 独立系金融アドバイザー、JAMに聞く【後編】「日本最大の金融機関」は夢物語か? 独立系金融アドバイザー、JAMに聞く【後編】」では、引き続きその詳細について聞く。