採用活動に自ら奔走 人材確保には非効率も厭わず

「逆に言えば、良い提案、良い商品を提供できる金融機関を自分たちがつくれれば、勝機は十分あるわけです。しかもその市場規模は、他のどの業界にも見劣りしないほど大きい。テック系の業界では社会に変革をもたらしたいと息巻く人はたくさんいますが、この業界で一旗揚げようという若者はいません。自身が起業すべき、ブルーオーシャンとも言える業界がリテール資産運用ビジネスで、そこに適していたのがIFAという事業形態だったのです」。

支店勤務の後、香港での機関投資家営業を経て8年勤めた野村證券を退職し、堀江氏は2018年にJAMを創業した。

この春入社した10名の新卒社員を除けば、わずか8名のアドバイザーという陣容で200億円もの預り資産を集めるJAMのビジネスモデルとは、一体どんなものなのだろうか。

「ひと言で言うと、泥臭く合理的に、ということになるでしょうか」。一見相反する要素だが、聞けば顧客数は600名程度、1人当たりの平均は3000万円強と、少なくとも合理的であることは間違いなさそうだ。

その「合理的」な営業を可能にするドライバーは「マンパワー、これに尽きます」と即答する堀江氏。「自分たちが目指しているのは、日本最大の金融機関。そのためには、アドバイザーとしての実力だけでなく、この目標に共感できる人材が必要です。4月に入った新卒一期生も含め、人材獲得は泥臭くやってきた」という。

創業1、2年目には、あらゆる人脈を使って優秀な営業マンをヘッドハンティングし、役員を含め合計8名まで増員。新卒採用の際は、堀江氏自ら実に700人もの学生に会ったという。目指す理想が高い分、必然的に目標も高くなる。だからこそ、入社後の「働くイメージ」の合う人材探しが重要なポイントになると堀江氏は力説する。

今の若年層には、自己実現に加え社会貢献につながる職業を志望する人が多く、JAMではその点への共感も重要視する。加えて、中途採用の場合は優秀な人ほど顧客を大切に思う気持ちが大きい。「共に走っていけそうな人を見つけた上で、顧客のために、社会に良い、大きなことを成し遂げようという理念を伝えれば、共感を得られる確率はかなり高い」のだという。

質の高い人材は収益の源泉でもあり、今後予定している他金融機関との連携の際にもキーになると言う堀江氏。「スキルの高い人材はいくらでもいますが、想いに共感できなければ、JAMでは活躍できない」と言い切る。