働き続ければ老齢厚生年金は増える

「ねんきん定期便」の老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込額(年間200万円)は60歳まで現在の加入条件で年金制度に加入し続けた場合の見込額です。障害厚生年金の額は障害認定日(初診日から原則1年6カ月経過した日)の月までの厚生年金加入記録で計算されますので、今後障害厚生年金は増えませんが、60歳以降も勤務を続けられると老齢厚生年金の額が見込額より高くなります。

会社にお勤めされれば厚生年金保険制度は最大で70歳まで加入対象となります。60歳の定年後65歳まで加入されれば受給額が増えるのはもちろん、年金を受けられる65歳以降も加入されれば、さらに受給額が厚くなります。60歳以降、毎月の給与(標準報酬月額)が30万円で厚生年金に加入した場合であれば、65歳までの勤務により老齢厚生年金が年額15万円以上増え、70歳までの勤務により年額24万円以上増える計算です。

65歳まで障害厚生年金を受けてきた人は、老齢年金の繰下げ受給ができない

本来65歳から受けられる老齢基礎年金・老齢厚生年金について、受給の開始を遅らせる代わりに年金を増額させられる繰下げ受給制度があります。 

1カ月繰り下げると0.7%増額が可能で最大70歳まで・42%増額(2022年4月以降は最大75歳まで・84%増額)可能で、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」にもその仕組みについて記載されるようになり、少しずつ知られつつあります。

しかし、65歳まで障害厚生年金を受けてきた人は、老齢基礎年金も老齢厚生年金も繰下げできません。65歳以降もお勤めされると、しばらく給与で生活できて、老齢年金はまだ受けなくてもいいと考えるかもしれませんが、受給の開始を遅らせることはできず、65歳での受給開始になります。これは今のうちに知っておいていただきたい重要なポイントです。