「利益」を原資とする配当金は確度が高い

もちろん、いくら配当利回りが良くなったとしても、肝心の株価が下落していたら、差し引きでマイナスになるのではという意見もありそうですが、連続増配を長年にわたって続けているような企業は、企業価値の向上に余念がありません。

ちなみに花王の株価は、1989年3月末が1690円で、2021年2月19日が7435円ですから、この32年間で4.39倍になりました。爆発的な上昇ではありませんが、着実に値上がりしていますし、何といっても年間で10%超の配当利回りが得られるとなれば、おそらく昔に投資した人は花王の株式を手放そうとはしないでしょう。この32年間で押し目を丁寧に拾い、保有株数がたとえば1万株になっていたら、年間の配当金額は144万円にもなります。

株価の値上がり益は企業が稼いだ利益から捻出されるものではありません。「企業価値」という、人によって異なる価値観が根拠になっています。

そのため、思惑によって株価は上下します。企業業績が好調なのに株価が値下がりすることがあるのは、その企業の株式を保有、売買している投資家の価値観が皆、バラバラだからです。その結果、株価は過大評価されたり、逆に過小評価されたりします。

この点、配当金は根拠が明確です。配当金は企業の税引き前当期利益から法人税、住民税、事業税を差し引いた後に残される「当期純利益」の一部を原資とします。つまり企業の利益が配当原資に充てられるのです。

もちろん、利益も景気、競合他社との競争などさまざまな要因によって増減しますし、将来の業績を正確に読み込むことはできません。でも、人の心理に大きく左右される株価に比べれば確度が高いので、連続増配の可能性が高い成長企業への長期投資は、短期のテンバガー(株価10倍)狙いに比べれば、比較的ストレスが小さいと言えそうです。