明らかになった本当の目的は「人付き合い」と「娘への相続」

元々は大きな含み損を抱えている投資信託をなんとかできないか、というのがご相談のきっかけでしたが、全てのお客さまにお聞きしている「そもそも何のために運用を行いたいのか」という質問を投げかけると、「世話になっている親戚や知人が集まる行事のお金を工面し続けたい」「資産を今以上に減らすことなく、娘に相続を行いたい」という、2つの明確な目的を引き出すことができました。

亡くなったご主人は広島県で医療関係の事業を展開する方で、地域でも有数の資産家。毎年正月には親戚や知人を集めて食事会を開催したり、親戚一同で行く旅行を計画したりしていて、その費用は畠山様が全額負担していたそうです。「お金を工面し続けたい」というのは、ご主人が他界し、東京にお住まいを移された今でもこうした行事や旅行を楽しみにしている親戚・知人を思ってのことのよう。必要な金額を聞くと、その額は年間1000万円ほどだといいます。

一般的には考えられないほど高額な負担ですが、富裕層にとって何より大切なのは人のつながりです。変にコストダウンを図って信頼を失うことを考えれば、費用をかける価値は十分あるというお考えなのでしょう。

また、ご主人が亡くなったときに会社を相続したのが長男だったこともあり、長女が相続した資産の額と長男のそれには大きな差があったようです。長女には多めに資産を相続することで、結果的に平等に資産を相続したいというご意向がありました。ご主人から引き継いだ資産を減らすことなく、可能であれば増やして長女に相続したい、というご要望には、そうした背景がありました。

このように、相談していく中で、ご自身も気が付いていない本音が明らかになることはよくあります。資産形成の本当の目的が把握できたところで、具体的な運用方法の提案を行っていきました。