相談者のプロフィールとお金データ

【金井 浩平(仮名)さんのプロフィール】 30歳、29歳の妻と生後4か月の娘の3人暮らし、神奈川県在住。大手IT企業に勤務している。妻は地方公務員で現在は育児休業中。老後資金を貯めるべく、自ら調べて米国ドル建て個人年金保険などの保険商品に辿り着き、1年ほど前から加入している。
【お悩み】 「老後の資金として、外資系生命保険会社の米国ドル建て個人年金保険と米国ドル建て終身保険に加入しました。子供の教育資金として周りから学資保険を勧められますが、預貯金が少ないので、定期積立の方が良いのではないかと考えています。他にも良い方法があるようなら検討したいです」
【お悩みの論点】 ①老後はゆとりある生活がしたい。そのためにはいくら貯めるべきか? ②子供の教育資金が心配。いくらをどのように確保したらいいか? ③すぐに使える預貯金が少ないのが悩み……貯金の仕方が知りたい
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資産状況や月々の収支内訳

【資産状況】 金融資産額:200万円 内訳 預金:200万円 ※iDeCo(個人型確定拠出年金)での運用、2種の保険への加入もしているが、ここには含んでいない。
【一か月の収支】 <収入> ・毎月の手取り額:54万円 ・手取りの世帯年収: 708万円(ボーナス支給があるのは妻のみ) ※別途、児童手当1.5万円もあるがここには含んでいない
<支出> ・毎月の支出:51.5万円(詳細以下)

支出について、金井さんからコメント

※1……「賃貸のマンションです。管理費など込みの値段です」

※2……「夫婦2人の割には食費がかかっている自覚はあります……」

※3……「実際には残ったら残高が増えている程度です。使い切ってしまって、貯金にねん出できていない月もあります」

※4……「保険は夫婦でそれぞれ7万円の支払い。全て米国ドル建て商品。保障よりも老後資金を重視しています。月約2万円は米国ドル建て終身保険に。残り月約5万円を米国ドル建て個人年金保険に支払っています」※保険の詳細は後述

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金井さんは将来を真剣にお考えになっていて、ご自身で調べて外貨建て保険に加入されるなど未来への備えのために行動を起こされていて、素晴らしいと思います。相談ポイントを中心に解説していきますね。

老後の不安に向き合うには数字での把握が大事。契約中の保険と老後の生活費を確認しよう

まずご相談ポイント1つ目の「老後はゆとりある生活がしたい。そのためにはいくら貯めるべきか」について見ていきます。こうした“漠然とした不安”も現状を把握し、数字できちんと認識していけば、具体的にどうしたらいいかが見えてきます。加入中の保険、老後資金をそれぞれ整理しましょう。

まずは、浩平さんと奥様の生命保険です。ご加入中のドル建て保険2種の内容は……

【米国ドル建て終身保険:死亡保険金1000万円】
 ・60歳で払込満了となり、60歳以降解約返戻率が115%、70歳時点では134%となる。
 ・中途解約した場合は、かなりの損失となる。
【米国ドル建て個人年金保険:死亡保障1000万円】
 ・60歳から20年間、月々1000ドル(1ドル100円換算で10万円)受け取れる。返戻率134%
 ・年金受給開始後に亡くなった場合には、ご遺族が年金を引き継げる。

次に、ご夫妻の老後の収支について見ていきます。

65歳以上の夫婦2人だけの世帯ではゆとりある生活資金は毎月36万円(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度より)。金井さんご夫婦の収入は毎月29万円(平均年金受給額:14.5万円/平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況より)となります。

35万円-29万円=6万円 が毎月の不足金額

平均寿命が伸び続けている昨今では、65歳から90歳までを老後として考えると、貯めておきたい必要資金は次のようになります。

6万円×12カ月×25年=1800万円

「やっぱり2000万円問題ということ?」と思われるかもしれませんね。ただ、金井さんご夫妻はお2人とも厚生年金を受給するわけですが、公的年金には「繰り下げ受給」制度があります。最長5年間繰り下げると42%の上乗せがあるという制度です。この制度を利用すれば、70歳以降一生涯、上乗せ年金が受給できます。

そして70歳になるまで――65歳~70歳の間は公的年金からの給付はゼロになってしまいますが、その期間は「個人年金保険」と「iDeCo」を活用しましょう。

米国ドル建て個人年金保険は、60歳から20年間月々約10万円(1000ドル)が払われますが、据置期間*1を置き65歳からの10年確定年金として受給すれば年金額は倍の月約20万円になるものですから、2人合わせて毎月約40万円も受け取ることが出来ます。
*1 保険料を払い終わってから年金を受け取るまで、そのまま預けておく期間。据置期間中も運用は続き、据置期間が長いほど受け取れる年金額が増える。

そのほか、現状月2万円ずつ積み立てているiDeCoですが、このままあと30年、年利3%で運用すれば1000万円超になっているはずで、こちらも心強い味方です。一時金で受け取れば退職所得控除もあり大きなメリットがあります。さらに、奥様の退職金も老後の資金として見逃せません。

米国ドル建て終身保険は見直す価値あり!

さて、「老後の資金」はひとまず安心されたと思いますが、現状の保険、とくに終身保険についてはご提案があります。

米国ドル建て保険のキャッシュバリュー(CV)*2は、一見とてもお得な印象を受けますが、貯まったお金を引き出すために解約をすると保障が無くなってしまうのです。葬儀費用くらいは残したいとお考えでしたら、保障と貯蓄は切り離して考えるといいです。
*2 解約払戻金,解約返戻金のこと

そのための具体的な提案としては……
・葬儀費用として300万円を終身保険で準備する。CVより保障重視
・子供が独立するまでは、掛け捨てで安く手厚い死亡保障を確保する

浩平さんは現在の終身保険に毎月約2万円を支払っていますが、保障額を300万円にすることで月々の保険料は7000円以下に収めることができますし、さらに逓減タイプ*3の定期保険をプラスして保障を確保するならば月々5000円程度になります。両方加入しても毎月8000円ほどは安くできます。これを機に終身保険の見直しをされてみてはいかがでしょうか。
*3 支払われる保険金額が、あらかじめ設定された期間が経過するごとに減少するしくみになっている保険。

教育資金はつみたてNISAで貯めていこう

次に「教育資金」について考えてみましょう。幼稚園から大学まで全て国公立の場合は791万円、すべて私立の場合は2372万円が必要資金と言われています。自宅通学で大学まで全て国公立の場合は、791万円ですから、791万円×お子さんの人数 = 最低限必要な教育資金となるわけです。

ご検討中の「学資保険」ですが、金井さんにはお勧めしません。基本的には養老保険ですから銀行の積立貯金より少し金利が良いくらいの商品です。それよりも金井さんの場合は、お子さんが18歳になるまでには十分な時間がありますから、20年間の非課税期間のある「つみたてNISA」を使いながらの投資信託積立をご提案します。低金利が続く中、運用なくして資産形成は出来ないためです。

最後につみたてNISAでのファンド選びと貯金術をアドバイス

では具体的につみたてNISAでの投信積立をどう始めるか、です。まずは毎月1万円で海外株式型(あるいは全世界型)のインデックスファンドから始めてみましょう。

「つみたてNISA」は1人1口座しか持てませんから、証券会社選びは慎重にお願いします。選ぶときに注目すべき点は①手数料②取扱銘柄数③サポートセンターの充実です。さらにポイントバックサービスなど、還元サービスがあるとよりお得です。

同時に銀行口座での貯金もしましょう。投資信託は売却のタイミングがとても重要です。必要に迫られたときに損失を承知で売却しては、「やらなきゃよかった!」とせっかくの積立も水の泡なってしまいます。いざという時の資金は銀行預金を活用するのです。

まず、今すぐできる貯金術としては……
・児童手当や給付金などは別口座で管理して絶対に使わない
・賞与は全額定期預金にして絶対に使わない

賞与全額を貯金に、と聞くと「厳しい!」と感じるかもしれません。ですが、「余ったら貯金をする」のでは、いつまでたってもあまりお金は貯まらないのです。「無かったものとして蓄える」のが貯めるコツです。「社会保険料」が良い例で、給料天引きですからほとんどの方はもはやその存在すら日頃は実感していないはずです。でも、その社会保険料は一生涯もらえる年金として還って来るのです。

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最初にもお伝えした通り、将来を見据え、自分で調べて行動を起こすというのはとても素晴らしいことです。保険だけでなく、つみたてNISAによる資産運用やお伝えした貯金術でより充実したお金の育て方を身に付けていただけたら幸いです。
 

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苦情増加の外貨建て保険!トラブルを回避するための注意点|くらしのお金二アエル