老後の不安に向き合うには数字での把握が大事。契約中の保険と老後の生活費を確認しよう

まずご相談ポイント1つ目の「老後はゆとりある生活がしたい。そのためにはいくら貯めるべきか」について見ていきます。こうした“漠然とした不安”も現状を把握し、数字できちんと認識していけば、具体的にどうしたらいいかが見えてきます。加入中の保険、老後資金をそれぞれ整理しましょう。

まずは、浩平さんと奥様の生命保険です。ご加入中のドル建て保険2種の内容は……

【米国ドル建て終身保険:死亡保険金1000万円】
 ・60歳で払込満了となり、60歳以降解約返戻率が115%、70歳時点では134%となる。
 ・中途解約した場合は、かなりの損失となる。
【米国ドル建て個人年金保険:死亡保障1000万円】
 ・60歳から20年間、月々1000ドル(1ドル100円換算で10万円)受け取れる。返戻率134%
 ・年金受給開始後に亡くなった場合には、ご遺族が年金を引き継げる。

次に、ご夫妻の老後の収支について見ていきます。

65歳以上の夫婦2人だけの世帯ではゆとりある生活資金は毎月36万円(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」令和元年度より)。金井さんご夫婦の収入は毎月29万円(平均年金受給額:14.5万円/平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況より)となります。

35万円-29万円=6万円 が毎月の不足金額

平均寿命が伸び続けている昨今では、65歳から90歳までを老後として考えると、貯めておきたい必要資金は次のようになります。

6万円×12カ月×25年=1800万円

「やっぱり2000万円問題ということ?」と思われるかもしれませんね。ただ、金井さんご夫妻はお2人とも厚生年金を受給するわけですが、公的年金には「繰り下げ受給」制度があります。最長5年間繰り下げると42%の上乗せがあるという制度です。この制度を利用すれば、70歳以降一生涯、上乗せ年金が受給できます。

そして70歳になるまで――65歳~70歳の間は公的年金からの給付はゼロになってしまいますが、その期間は「個人年金保険」と「iDeCo」を活用しましょう。

米国ドル建て個人年金保険は、60歳から20年間月々約10万円(1000ドル)が払われますが、据置期間*1を置き65歳からの10年確定年金として受給すれば年金額は倍の月約20万円になるものですから、2人合わせて毎月約40万円も受け取ることが出来ます。
*1 保険料を払い終わってから年金を受け取るまで、そのまま預けておく期間。据置期間中も運用は続き、据置期間が長いほど受け取れる年金額が増える。

そのほか、現状月2万円ずつ積み立てているiDeCoですが、このままあと30年、年利3%で運用すれば1000万円超になっているはずで、こちらも心強い味方です。一時金で受け取れば退職所得控除もあり大きなメリットがあります。さらに、奥様の退職金も老後の資金として見逃せません。