『GULLIVER 03号』マガジンハウス

最後に人生を楽しみたい、味わいたいと思うきっかけになった1冊です。1冊と言ってもマガジンハウスの旅行雑誌で、『GULLIVER』の創刊第3号(1990年)※です。
※編集部注:雑誌のため、現在は入手不可。

巻頭特集の「地中海の快楽島、イビサ」は表紙とわずか11ページほどの特集ですが、ページを開けた瞬間、20歳を過ぎたばかりの私を刺激するには十分過ぎました。実際に念願が叶い訪れたのは、13年経った2003年だったのですが、すぐにでも再訪したいと思えるほどの最高の場所、夢のような時間でした。

そして、お金の使い方にメリハリが出てきたのもその頃からです。再訪するには無駄遣いをしている場合ではないと思えたのです。お金を計画的に使う、マネージメントするという意識がいっそう明確になりました。

こうした経験からも、普通の人にとってはお金を得ることは人生の目的ではなく、楽しい人生、幸せな人生を送るための手段と考えています。ないよりはあった方がもちろんよいですが、必要な分だけあれば十分で、それ以上はお金を得るために努力するより、違うこと――それは趣味や自己研鑽、家族との時間など人それぞれですが――に対して、努力した方が素敵な人生になるのではないでしょうか。

お金を追いかけすぎず、時にはFPのようなプロの力を借りて、あなただけの人生を楽しんでほしいと思います。

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エピローグとして、“こぼれ話”を2つほど。

実は、FP業を始めてからは、いわゆるマネー本(特に著者の思想が中心の本)からはあえて距離を取っています。というのも、私のFPとしての仕事の1つに「お金に関する執筆」がありますが、他の著者からの影響を極力受けないようにするためです。裏を返せば、やはり本にはそれほど力があるのだと思います。

また、今回のテーマは「本」でしたが、地図を見ることも大好きです。土地勘、そしてその土地や住宅の相場勘を磨くには、地図を眺め、実際に足を運ぶ……これが一番です。

つまり、本も“フィールドワーク”もどちらも大切――ということで、私のおすすめが皆さんのお役に立てればこんなに嬉しいことはありません。