『人を動かす』D・カーネギー著
最初の本は『人を動かす』です。とても有名な本なので、読んだことがある方も多いでしょう。
私がこの本に出会ったのは大学2年生の時(1987年)です。人生経験はまだまだこれからという19歳の若者が読むには、難しい箇所もありましたが、2ヶ所だけは今でも頭の中に残っています。
1つは「盗人にも五分の理を認める」というところです。人を非難するのではなく理解する努力をしようという意味のはずです。人の文句を言うのは天に向かって唾を吐くようなもので、必ず自分に返ってくるからしないようにと心に誓ったものです。
もう1つは、スティービー・ワンダーの少年時代の話です。目の不自由なスティービー・ワンダーが、学校の先生に素晴らしい耳の能力を認めてもらったことで、新しい人生が始まったというエピソードでした。先生にとっては、何気ない行動だったかもしれませんが、長所を褒められたり認められたりすることは誰でも嬉しいものだと改めて感じたものでした。
私のお伝えする一言がクライアントの方の日々の家計管理、資産運用だけでなく、ひいては人生にも関わることもある――FPという仕事をする上でも「その方のご事情や悩みを理解する、そしてその方を認める」この2つを“心得”として刻んでいます。
ちなみに、この本についてはもう1つ面白い話があります。就職活動の際、ある企業の面接で好きな本を聞かれてこの本を挙げたら、採用担当者に気に入ってもらえたようで、とんとん拍子で選考が進んで、新卒で入社することになりました。その企業とは住宅メーカーだったわけですが、そのキャリアが今、「住宅総合相談」をお受けしている礎になっています。そんな縁を結んでくれた本でもあります。