非・分散、非・長期 リタイア世代の資産運用

3500万円に達していた企業型DCについては、現金化して一括で受け取ることを提案しました。相談を受けた2018年末ごろは世界的に景気が良く、株価にも過熱感があったので売り時と判断したのです。受け取った額の約半分は預貯金に回し、残りを運用の待機資金としました。

一般的に、資産運用は「長期・分散」が王道と言われており、福島さんの企業型DCもこのスタイルで利益をあげてきました。しかし、これはリスクを取れる若い人にはよくても、50代以上の方にとっては最適とは言えないというのが私の考えです。

というのも、こうしたオーソドックスな投資では、数年に1度はやってくる暴落局面で資産が大きく減ってしまいます。「我慢して長期保有すれば、いずれ戻ります」とアドバイスするのは簡単ですが、この年代では耐えられない人も多いのです。かといって、大きく減らないようリスクを抑えればリターンが犠牲になります。老後の生活にゆとりを生むための運用なのに、リターンを抑えてしまっては意味がありません。

そこで私が提案するのは、「非・分散×非・長期」の投資手法です。日経平均株価に連動する2本のETF(上場投資信託)を使って、マーケットの予測ではなく現状分析に基づいて投資比率を変えていく方法です。投資判断は業績から見た「割安・割高」と、投資家心理から見た「悲観・楽観」の2つの独自の指標から決めています。

売買ルールは、「割安・割高」「悲観・楽観」の組み合わせによって決めています。具体的には「割安」「悲観」になればなるほど買いポジション(日経平均株価が上昇すると利益になるETF)を増やし、「割高」「楽観」になればなるほど売りポジション(日経平均株価が下落すると利益になるETF)を増やします。詳細は企業秘密なのですが、トレンドが加速すればポジションを段階的に増やしていき、反転して利益確定のシグナルが出たら売却していきます。

短期的に大きな利益をあげられるものではなく、含み損を抱える時期もありますが、小さな確定利益をコツコツと積み上げられる投資法で、当社独自のアルゴリズムに基づいて機械的に投資判断をします。