下落の最中で資産を増やした「非・分散×非・長期」の効果
この手法の売買シミュレーションは次のようになっています。
推移を見ていただくと、日経平均株価の振幅と比較して売買シミュレーションの振幅は小さく、右肩上がりを実現できていることが分かります。特に、日経平均株価の下落局面では強みを発揮していて、今回のコロナショックにおいては、下落を避けるどころか、大きく上昇していることが見て取れます。
上記はあくまでも売買シミュレーションですが、この手法を基にして、実際に投資助言業のお客さまにお伝えしているモデルポートフォリオのパフォーマンスは、次のようになっています。
推移を見ていただくと、日経平均株価ほど大きく下落する局面はなく、コロナショック時には資産を増やし、2020年5月末現在はプラスの状態。「非・分散×非・長期」の投資手法が効果を発揮していることが見て取れます。
ルールに従わなかった反省から、投資手法の有効性を再認識
ただ、実を言うと、私がパフォーマンスの足を引っ張ってしまった点があります。それは、コロナショックで大きく下落した局面で「割安」「悲観」の両方が伴ったので、ルール通りであれば買いポジションを大きく持つはずのところを、さらに下落する可能性を考えて慎重になってしまったために、買いポジションを小さくしてしまったことです。
この手法は、「安く買い、高く売る」を段階的に行っていくものなので、投資タイミングや投資比率が多少変わっても、売買シミュレーション上、右肩上がりの傾向は概ね変わらないのですが、ルール通りに行っていくことの難しさを改めて感じた局面でした。逆に、この独自分析に基づき、ルールを決めて投資比率を変えていくやり方の信頼度がさらに増した局面でもありました。
「分散×長期」も運用の1つの手法、「非・分散×非・長期」も1つの手法で、どちらが良い、悪いというものではありません。一般には「分散×長期」が推奨され、多くの金融機関がその考えを基に提案している一方で、私は、「増やしたいけど減らしたくない」を実現したいのであれば、「非・分散×非・長期」だという考えをもっています。時々セミナー等でもお伝えしていますが、どちらか一方ではなく、「分散×長期」と「非・分散×非・長期」の両方を併行して試してみるのもよいのでは、と思っています。
皆さまにはぜひ、自らの将来のために、自分に合う手法を見つけていただければと願っています。