リモートでのコミュニケーションを模索する金融機関

そうした中、「動揺されたお客さまもいたが、現状と先行きの説明をし、何が不安であるか、何のための投資なのかの目的を再確認することで冷静さを取り戻していただけ、損切りの解約は少なかった」(東海地方の地方銀行)との声もある。こうした環境だからこそ、金融機関のアドバイスによって冷静な行動を取れた投資家も少なくなかったと言えそうだ。

金融機関の「コロナショックを受けた取り組み」についても聞いているが、最も多かったのは「電話によるフォロー」で、90%が実施(図2参照)。

「DMなど書面によるフォロー」が40%、「投信積立の提案」「追加購入の提案」を行ったところも少なくなく、少数ながら「SNSなどを活用したフォロー」「Webセミナーの実施」などを選択した回答もあった。面談こそ難しいものの、試行錯誤しながら金融機関が顧客とコミュニケーションしている様子がうかがえる。

併せて、Web会議、テレビ会議システムの導入状況も調査しているが、導入済みが80%で、投資信託の運用会社など外部企業にも開放しているとの回答も25%あった。

ただし、そうしたシステムを顧客とのコミュニケーションにまで活用しているところはまだ少数派のよう。とはいえ、「コロナ後」の世界において、こうしたリモートでのアクセス手段が不可欠となるのは間違いなく、今後は急速に活用が進むことになりそうだ。

一方の個人投資家、特にここ数年で投資を始めたという人にとっては、今回のような急落は初めての経験だったはずで、「誰かに相談したい」と思った人も多いのではないだろうか。

たとえ金融知識が豊富な人でも、いざ自分がショックに直面すると冷静に行動できなくなってしまうもの。普段はネットだけで取引をしているような人にとっても、Web会議システムなどで気軽に相談できるような仕組みがあれば、相場急変時の安心につながるのは間違いないだろう。