個人投資家がアクティビストの分析資料から銘柄分析の観点を学ぶ上で、3D Investment Partners(3DIP)がスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)に提示した資料は「分解」「比較」「採点」という手順とその分析アプローチにおいて多くの示唆に富んでいる。個人投資家が個別銘柄分析に応用できる実践術を解説する。
「分解」「比較」「採点」の3ステップで分かる銘柄の実態
3DIP がスクウェア・エニックス・ホールディングス(HD)に示した資料(2025年9月29日付)では、営業利益が32%減少した失速の背景を複数の切り口で精密に分解している。「分解」「比較」「採点」という一連のステップは、個人投資家が他の銘柄を分析する際にも応用が可能だ。
営業利益の減少要因の分解(「売上高×利益率」「事業別」)
第1の観点は、利益額の変化を「売上高の成長」と「利益率」に分けて捉えることだ。3DIPが示す資料では、利益額の減少が売上高の減少と、低迷する利益率の両面から生じたと整理する。売上高は2022年3月期から2025年3月期の3年間で年平均4%減、ROE(自己資本利益率)は19%から7%へ12ポイント低下した。
もう一方の分解は、事業別での深掘りだ。
スクウェア・エニックス・HDの事業別営業利益率(2025年3月期)
※全社共通費用等の調整額の配賦は行っていない
3DIPは、売上高の減少をHDゲーム事業※1の年平均5%減とSDゲーム事業※2の同17%減に求め、利益率においてもこの2事業における低迷を指摘する。そのうえで課題を「HD事業の売上不振」「SD事業の売上不振」「非ゲーム事業とのシナジー欠如」と、利益率の低迷に関わる費用項目の課題ツリーに落とし込み、各課題を採点していく。大きな変化を検証可能な小さな問いに分ける手順である。
※1 HDゲーム事業…家庭用ゲーム機等向けソフトの開発・販売
※2 SDゲーム事業…スマートデバイス・PCブラウザ等向けソフトの開発・販売


