ROEは7社トップ、最終益は三菱商事が逆転へ 電通総研TOBは投資家の好評価を保てるか

最後に、総合商社7社を資本効率と株価の両面から比べてみましょう。26年3月期のROE(自己資本利益率)は、伊藤忠商事が14.6%で7社中トップでした。丸紅(13.6%)、住友商事(12.9%)、豊田通商(12.8%)が続き、三井物産(10.2%)、双日(10.1%)、三菱商事(8.5%)の順です。

一方、27年3月期の純利益の予想では、三菱商事が1兆1000億円と伊藤忠商事の9500億円を上回り、首位が入れ替わる見通しです。

【総合商社7社の予想純利益(27年3月期)】
・伊藤忠商事:9500億円(前期比+5.5%)
・三菱商事:1兆1000億円(同+37.4%)
・三井物産:9200億円(同+10.3%)
・住友商事:6300億円(同+4.9%)
・丸紅:5800億円(同+6.6%)
・豊田通商:4300億円(同+16.1%)
・双日:1300億円(同+25.5%)
出所:各社の決算短信

総合商社7社の純利益(2017年3月期~2027年3月期)
出所:各社の決算短信より著者作成

株価の評価にも、この資本効率の差が表れています。伊藤忠商事の26年3月期実績PBR(株価純資産倍率)は2.33倍、27年3月期予想PERは16.07倍と、五大商社では最高、7社では豊田通商に次いで2番目であり、高い資本効率が株価に織り込まれている形です。

【総合商社7社の株価指標(26年10月5日終値)】
・伊藤忠商事:PBR2.33倍、PER16.07倍、配当利回り2.00%
・三菱商事:同1.83倍、15.67倍、2.65%
・三井物産:同1.59倍、15.18倍、2.84%
・住友商事:同1.79倍、13.14倍、2.30%
・丸紅:同1.80倍、13.47倍、2.39%
・豊田通商:同2.47倍、16.11倍、1.69%
・双日:同1.05倍、8.83倍、3.27%
※PBRは26年3月期実績、PERおよび配当利回りは27年3月期予想
※伊藤忠商事のPBRは株主資本ベース、その他は親会社所有者帰属持分ベース

今回の提携で目指すROI8%は、伊藤忠商事の現在のROEを下回る水準です。単純には比べられませんが、市場が評価する高い資本効率を保つには、シナジーの上乗せが欠かせません。

TOBの開始時期は、国内外での許認可取得を前提に、11月上旬を予定しています。提携の成果が数字にどう表れるか、今後の決算に注目です。