社内から「高い」の声 少数出資に40%プレミアムを払ってまで欲しがった理由とは

今回のTOBは、電通総研の株式のうち、伊藤忠商事側が電通グループ以外の保有分を取得する形です。成立すれば電通総研は上場廃止となりますが、電通グループはTOBには応募せず、以降も61.78%の出資比率を維持する見通しです。

つまり、電通総研は伊藤忠商事と電通グループが実質的に2社で持ち合う形となり、電通総研単体で見れば、伊藤忠商事は少数出資者ということになります。TOB価格2880円は、今回の提携が報道で伝わった時期からは約40%高い水準で、伊藤忠商事の社内では「マイノリティ出資で40%のプレミアムは高い」という声もあったようです。

なお、TOBは戦略的提携の枠組みの1つにとどまります。このほか、ITサービス領域では伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と電通総研が、リテールメディア領域では伊藤忠グループのデータ・ワンおよびゲート・ワンと電通が業務提携を結ぶ計画です。伊藤忠商事は、この枠組み全体で将来的にROI(投資利益率)8%以上を目指すとしています。

ITサービス領域では、CTCと電通総研のシナジー創出に注力します。相互送客および互いの顧客への一体提案(クロスセル)のほか、フィジカルAIやサイバーセキュリティといった領域での共同開発、ASEANと北米での海外事業の連携などに取り組み、さらなる成長を目指す方針です。両社は顧客の重複が少なく補完性が高いことに加え、競合関係も比較的少なく、相乗効果を発揮しやすいとの見方です。